コーカサス日記 / 文・金子泰子、絵・金子敦 / Blood Tube Inc
旅は一期一会。
夫婦でデザイン会社を立ち上げ、広告制作から出版、ブランドデザインなど様々なジャンルのデザイン&アートディレクションを行う「Blood Tube Inc」。傍らで、Blood Tube Booksとして自費出版をする旅日記シリーズの第三弾。
旅の行き先は「コーカサス」。
コーカサスとはどこだ?と思われる方も多いはず。
地図を開いてみましょう。黒海とカスピ海に挟まれ、北にロシア、南にイラン、東にトルコが位置する文化の交差点のような地域です。
旅をしたのは、南コーカサスと呼ばれる、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンという国々。
コロナで世界が閉鎖されていく前の2018年に旅をした記録が日記と写真、イラストで綴られています。
金子さんのもとに『アルケミスト』ばりの「前兆」がやってきて、呼ばれるように旅の目的地となったコーカサス。
一体何があるんだ?と読んでいけば、ザハ・ハディド建築があり、画家ピロスマニの故郷があり、ワインの産地があり…、コーカサス地域の文化や歴史を知りながら今回もだんだんと知的好奇心が満たされていきます。
食事のメニューと共に値段が現地通貨の表記で毎回書かれてるのもまた旅心がくすぐられる。
そして本シリーズを通して考えさせられるのは、これまで旅をした国、地域がどこも戦争や紛争と隣合わせの場所ばかり、ということ。
旅をした場所がニュースで出てきたら、もう他人事ではない、とあとがきで語られているように、世界ではパラレルワールドのように様々な出来事が起こっているけれど、自分の目で見て、足で歩いた場所はどうしたって記憶に残るもので、そこで感じたことや体験がその人にとってのなにかしらの血肉となるのだな、と改めて気づかされました。
旅に出たい。知らないものに出会いたい。そう思わされる大好きなシリーズです。
ぜひ前作とあわせて読んでいただきたいです。
第一弾:ウズベキスタン日記
第二弾イラン・ペルシャ日記
第三弾コーカサス日記