Exhibition No.8 : 『yahaeの色、自然の色』展

奈良県・広陵町にある靴下工場「ヤマヤ株式会社」が2020年に立ち上げたファクトリーブランドyahae〈ヤハエ〉のポップアップを2023年3月25日（土）より面影 book&craftにて開催します。

100年以上前から連綿と受け継がれてきた靴下づくりの伝統を守りながら、既存の価値観にとらわれないアイデアとデザイン性で形作っているyahaeは、普段着でもオシャレ着にでも合わせやすく、流行に左右されないオーセンティックなスタイルを足元から演出してくれます。

日常使いでも、誰かにプレゼントでもよさそうな、上質でファッショナブルなとっておきの靴下で新生活を整えてみてください。

会期中には、yahaeのほとんどのラインナップの靴下の販売や靴下の染色のインスピレーションの基となった植物の色合いや信州・上田と奈良で採取した植物の色合いを比較した展示なども予定しています。

『面影飛行 vol.9 自然を感じる旅｜野村泰嵩さん（yahae代表）』

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『yahaeの色、自然の色』展
会期：2023年3月25日（土） - 4月16日（日）
場所：面影 book&carft（〒386-0012 長野県上田市中央1-6-19-1F）

今回のイベント名として『yahaeの色、自然の色』というタイトルにしました。はじめは自然の風合いや色を感じて欲しくて決めたのですが、会期を重ねることでもう少し深みのあるyahaeの特色も自分の中で言語化できてきたので、それらを簡単にお伝えしていきたいと思います。

もちろんプロダクトでもある靴下の糸の染色的な“色”というのは石や草花などの自然物の色合いからインスパイアされているのですが、さらに特筆すべき点は、生産工程の中に人工的なプロセスをなるたけ入れないということなのではないでしょうか。

それらを一番実感できるのが、アルパカとヤクの動物の毛を使った靴下です。
南米ペルーを中心としたアルパカの毛は、自然の素材でありながらその保温性優れ、近年世界的にも再注目されており、先進国のファブリックブランドを中心に商品展開するところも増えてきています。それ故、大量生産、そしてあらゆる染色が行ないやすいように動物の時点で白いアルパカを育てようと品種改良が進められているそうです。
こうした“不自然”な生産背景を知ったyahaeさんは、染色などを一切せずアルパカ本来の毛の色で靴下作りを行なうために自らペルーのアルパカの生産者の方にコンタクトを取り、素材の輸入から靴下製作まで一手に手掛けています。ヤクも無理に動物の体毛である毛を使うことではなく、抜け落ちてしまった毛を集めて糸に変え、足りない部分は綿で補い靴下を製作しているそうです。

そしてこうしたyahaeの姿勢は靴下でメインで使われている素材でもある綿にも表現されています。みなさんは綿花と聞いて何色をイメージするでしょうか。おそらく大半の方は白をイメージされるかと思います。けれど江戸時代から綿花を作り代替わりをしながら靴下産業へと入っていったyahaeさんがいうには、元の綿花の色合いは茶色だったそう。
これも先ほど同様、効率よく染色し大量に色々な靴下を作るべく、本来の茶色から白へと素材の生産段階で品種改良がされているとのことでした。もちろんそのような時代背景や変遷を経て今があるので、白色を否定する訳ではありませんが、yahaeの商品ラインの中には、その茶色い綿である茶綿の色をそのまま生かした『ORGANIC COTTON ROW GAUGE SOCKS』もしっかりと形にされています。

また今回のポップアップ期間中で一番人気なのが藍染を生かしたこちらの『ORGANIC COTTON 100% RIBBED SOCKS』です。こちらは同じ奈良を拠点に植物の藍を育て染色しているまだ20代後半の若者と一緒に製作しているシリーズで自然の中の美しさを互いに切磋琢磨しながら探求し続けている次の世代を代表するようなプロダクトといっても過言ではないでしょう。

こうしたものづくりの姿勢や取り組みでも分かるようにyahaeの靴下の生産プロセス、特に素材の上流工程でもある生産背景にも気を使い、全てが自然体で無理のなく作っていくところ、つまりそのスタイルこそがyahaeの特色、yahaeの“色”なのだろうと会期後半にきて腑に落ちているところです。

もちろんモノの良さがあっての想いのある取り組みだろうと思いますが、その取り組みや姿勢がプロダクトである靴下の風合いに繋がっていることは間違いないことで、自分が日々使うモノがそうした生産背景を纏っていることを意識するだけで、わたしたちは消費者として何か学びや気づき、そして行動の変化が生まれてきそうな気がしてきます。