風と森の菜食そうざい 畑と台所のレシピ / 著者・髙木智代 / マイナビ出版
野菜を料理に仕立てる
先日出先でお目当てにしていた惣菜屋がまさかの定休日で振られランチ難民になってしまった。手元のスマートフォンの地図アプリで手当たり次第に周辺でランチができるところを探し、一軒の洋食屋さんに入って食事をした。
けれどだ運ばれて来た料理を口にしても味がしないのだ。そのお店の味付けも外食でよくあるような少し塩気の強いものであったのだが、何を食べても何を食べているのかが分からない状態だった。目隠しなんぞしたら、それが人参なのか玉ねぎなのかの区別がつかない感じと言ったら伝わるだろうか。
たまにはこんな日もあるよね、と妻と店を後にする道すがら結局いつも自分たちが口にしている食材とのエネルギー量の落差があり過ぎるのかもしれないという結論に至った。自然農で育った野菜を5年食べ続ければその味の濃さも日常の中に当たり前になってしまう。改めてこれは当たり前ではないということを考えなければならないのだろう。改めて私たち人間はエネルギーを食していることを実感した経験だった。
さて、本書『風と森の菜食そうざい 畑と台所のレシピ』に掲載されている写真を見ると自分が栽培している野菜たちと同じ空気感を纏っているように感じた。そして色々調べてみると著者の髙木智代さんも「風と森」という屋号で畑をやりながらお弁当作りをしていることを知った。SNSの畑の写真を見てみるとどうやら自然農もしくは自然栽培のような雰囲気のある畑が写っていた。レシピも我が家のそれとシンクロするような料理が並んでいて、今度これを作ってみたいというのもがどんどんと浮かんできた。
神奈川県・葉山町で、畑の野菜をたっぷり使った菜食のおべんとうを届ける「風と森」。できるかぎり自分たちで育てた野菜を使い、素材の持ち味に寄り添いながら、さまざまな調理法で丁寧に仕立てられるお弁当は、しっかり満足感がありながら、軽やかな食べ心地。最後のひと口まで繊細で滋味深く、からだに染み渡る味わいだということもページを捲ってみれば一目瞭然。
本書では、風と森の畑と台所から生まれるレシピを、「和える・漬ける」「焼く」「煮る」「蒸す」「揚げる」といった日本で昔から続いている調理法ごとに紹介。野菜ひとつひとつに向き合い、そのおいしさを引き出すための工夫を、つまり「仕立て」をレシピという体裁で語ってくれている。巻末には、畑の風景や日々の台所の様子を綴った「風と森の台所日記」も収録。
間違いなくこの本に掲載されている食材や料理には、確かなエネルギーがありそうだ。
<目次>
【和える 漬ける】
法蓮草のお浸し/隠元の胡麻和え/せりと油揚げの胡麻添え/おくらの黒麹添え/蕪の梅ゆかり和え/菜花の昆布〆/蕗の翡翠煮/ふきのとうの白味噌和え/人参の白和え/ブロッコリーのおろし胡瓜和え/胡瓜のピクルス/キャベツのコールスロー
【焼く】
紅くるり大根ハーブ焼き/おくら塩麹焼き/蓮根のハニーマスタード風/椎茸のもちきび詰め/ピーマンの肉詰め/大豆ミートハンバーグ/きのこトマト煮込みソース/豆腐ステーキ トマトソースかけ/茄子の蓮根はさみ焼き/豆腐の蒲焼き/ポテトグラタン
【煮る】
卯の花/牛蒡と油揚げの煮物/里芋の白煮 arrange 里芋の塩麹揚げ/大根と松山揚げの煮物/おでん/べジミートソース/人参スープ
/キャベツスープ/干し椎茸のスープ
【蒸す】
蕪蒸し/キャベツの蒸し焼売/蒸し野菜の和風バーニャカウダ/白菜の蒸し鍋/蒸し茄子ナムル/蒸し豆のマリネ/野菜のマリネ/南瓜とナッツの蒸しサラダ/薩摩芋とひじきのサラダ/蓮蒸し/豆乳茶碗蒸し
【揚げる】
新玉葱のハーブパン粉フライ/蓮根フライ/野菜ミックスフライ/車麩カツのみぞれぽん酢和え/ゆり根の飛竜頭/豆腐の磯部揚げと紫蘇はさみ揚げ/空豆のファラフェル/米粉のコーンコロッケ/蓮根と切り干し大根のべジ肉団子甘酢炒め/茄子と牛蒡の揚げ浸し/野菜天丼
column 菜食そうざいのいいお供 おいしいごはん
風と森の台所日記
髙木智代
長崎県島原市生まれ。「風と森」として畑の野菜を使った菜食のおべんとう、療養食を作っている。料理協力『暮らしの中に生かす 禅の作法(学研プラス)』、『禅を知りたい(エイ出版社)』、著書『今日のごはん、何作ろう?(WAVE 出版)』がある。






