Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers
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Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers / 著者・レナード・コーエン、翻訳・内藤ゆき子 / ピー・エヌ・エヌ新社
永遠の今
北欧を旅していた時によくヴィンテージのものを買い付けしていた。陶器、磁気、ガラスなどなど。1950年代を軸にし、それ以前のものも多く見つけては品定めをし、えいや!で思い切って購入ということをやっていた。それを日本に戻ってきた時に、青山ファーマーズマーケットのチームと組んでNordic Lifestyle Marketを開催して、主宰であるにもかかわらず自分でも出店してそのヴィンテージを販売していた。
この買い付けの時に意識していたのは、日本的なるものというテーマだったように今振り返ると感じられる。こうした買い付けをしていると、最終的なゴールとして一見立ちはだかる売れるかどうかというところに他勢は目が行くようだった。やれ、フィンランドのカイフランクやスウェーデンのスティグ・リンドベリなどいわゆる名前から入った売れ線を買い付けるということは、野暮だしダサいと思っていたから自分はそうはならないぞと、こころに決めていたように思う。
そうして買い付けをしたものを見てみると、全体のエッセンスの中にどこか儚さや諸行無常というような移ろいゆくものを感じさせる中で、それ故存在としての永遠の今を感じられるものが揃っていた。言うなれば「わびさび」というやつかもしれない。自分の中の目や美意識にそうしたものがしっかりと根付いているということが日本人としてなんだか誇らしかったし、買い付けするごとにあらためてそんなことを実感できて嬉しかったものだ。
さて、本書『Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers』は私たち日本人のアイデンティティのベースとなっている「わびさび」について海外からの目線で語られた一冊だ。
わびさびとは何かと問われれば、
たいていの日本人は
頭を振り、口ごもり、説明するのは難しいと
弁解がましい言葉を口にすることだろう。(本文より)
こう本文中でも語られているように、我々日本人は常日頃から「わびさび」を意識しているわけではないし、それがあることすら忘れてしまっているのではないだろうか。けれど海外の方たちに言わせてみれば、それらが至る所に滲み出てしまっているようなのだ。
さて、「わびさび」とは一体なんのだろうか。というのが本書が論じるところ。
本書では、「わびさび」を美的趣味としてではなく、体系を持つ美の哲学として、
モダニズムなどの西洋の美意識と比較しながら、明晰な言語化を試みている。
1994年の初版の刊行(英語版)から20 年以上読み継がれ、「Wabi-Sabi」の流行を生み、ひとつの美的概念として一般化させたのが本書である。
近年では、企業哲学としての「シンプリシティー」を学ぶ原典としても愛読されている。この日本語版は、新たに「20年後の思い」を書下ろした増補新版となる。
ものは時間が経てば大抵のものが風化や劣化が進んでいくのが世の常。
「わびさび」とは、その時系列のある一点を通過もしくは最初からその時の流れを止めたような存在を示すのではないかと感じた。そして時の流れを止めた存在である「わびさび」が、茶の世界に入るとその場に在るもので構成された空間の中で、有から無への方向性という自然の時の流れが再び動き始める瞬間を感じる取れる状況が表出してくるのではないだろうか。それはコントロールしない、できない永遠の今の存在なのだろうと感じた。
これが自分がこの一冊を手にした時に浮かび上がってきた「わびさび」についてのものだった。
まあ、読んでみても空を掴むようなものなので、正直実感は湧かないかもしれないが、ずっと問いを投げつけられている感覚になることだろう。そういう意味でも永遠性は感じられるはずだ。
みなさんは何を感じ何が立ち現れてくるか、いつか意見を交わしてみたい。
<目次>
イントロダクション
歴史的視点等からの考察
曖昧化の歴史
暫定的な定義
モダニズムとの比較
歴史的概略
わびさびの宇宙
チャート
わびさびの形而上的原理
わびさびの精神的価値
わびさびの心
わびさびの道徳的戒律
わびさびの物質的特性
Making“わびさび"
わびさびをつくる
理論的概念としてのわびさび
なぜわびさびが重要なのか?
注釈
写真キャプションとクレジット
巻末エッセイ
森岡督行(森岡書店)/渡邉康太郎(takram design engineering)
レナード・コーレン
作家、編集者、パブリッシャー。ニューヨーク生まれ。サンフランシスコ在住。カリフォルニア大学(UCLA)で建築を学んだ後、1976 年に雑誌『WET: the Magazine of Gourmet Bathing』を創刊。あらゆる文化事象を融合させた、グラフィカルで実験的な誌面は、多くのフォロワーを生んだ。その後、日本に長期滞在。多くのクリエイターと交流しながら、デザインのコンサルタントや雑誌連載などを手がけた。以降、デザインや美学に関する著作を数多く執筆している。




