TRANSIT 70号 光の国、スウェーデンへ / 編集・ユーフォリアファクトリー / 講談社
「旅行」から「旅」へ
僕が北欧をただの「旅行」ではなく、「旅」というカタチで推し進めてくれたきっかけが、自由大学というのちに自分も働くこととなる大人の学びの場に会社員時代に飛び込んだことがきっかけだった。
はじめに受けた講義は「クリエイティブ都市学ーストックホルム編」だった。それまで少なくとも年に1回、多くて2回「旅行」として足を運んでいた北欧諸国が、どうして居心地がよく、そして世界的なプレゼンスを持った企業が生まれ、さらには世界の科学者の権威でもあるノーベル賞を決めるための場となっているのかということが不思議でたまらなかった。さらには現地で感じる何かが起こっている感じと静寂のコントラストにとても惹かれていた。これらの謎をこの講義を通して解き明かせるのではないかという期待を込めて受講を決めたのだった。実際にその講義ではさまざまなゲストを呼び、当時クリエイティブ都市と言われていたスウェーデンについて学んだ。何かスウェーデンについて解き明かせたかというとそうではない。ただ、都市を見る切り口、そしてそれらを探究する姿勢や角度を理解することができたことで、自分の「旅行」が「旅」になるきっかけを与えてくれたのだった。
その時の感覚を呼び覚ましてくれたのが、本書『TRANSIT 70号 光の国、スウェーデンへ』だった。
オーロラが揺れる夜空、誰もが自由に楽しめる森と湖。豊かな自然に抱かれた北欧の国、スウェーデン。暮らしを大切にするこの国では、日用品から建築まで、機能的で洗練された美しいデザインが育まれてきた。
歴史を辿れば二度の世界大戦で中立を貫き、いまでは男女平等が進んだ福祉国家としても知られている。自立を大切にし、誰もが生きやすい社会を目指す人びとの間には「幸せとは何か」という問いが息づいているように感じられることだろう。
自然の光、暮らしの工夫、人びとの思想。その源をたどって、スウェーデンを「旅」するきっかけとなる一冊だ。
息子がもう少し大きくなったら、家族でスウェーデンをはじめ北欧に「旅」をしていきたい。「旅行」ではなく、何か学びを持ち帰れる「旅」をだ。
<目次>
光る季節を追いかけて/ストックホルム、ヨンショーピング、カールスボリ、トロルヘッタン、アービスコ
写真・文=リナ・シェイニウス
ストックホルムの15人/ストックホルム
写真=相馬ミナ
夏の余白に光を拾う/ゴットランド、ファーロ、ヴィンメルビー
写真=相馬ミナ 文=菅原信子(TRANSIT)
光のまちで生きる人、生まれるもの/ストックホルム、グスタフスベリ
写真=三部正博 文=林紗代香(TRANSIT)
極北ラップランド100km 博物をめぐる探検ハイク/ラップランド
写真=野川かさね 文=小林百合子
ただいま、ダーラナ。詩情の原風景と『わたしの家』/ダーラナ地方
画=カール・ラーション 写真=ミラ・ウィックマン
スウェーデンの森と季節の歳時記
スウェーデン人大解剖
氷が作った水の国
北欧のなかのスウェーデン
スウェーデン史を攻略しよう!
光のある空間 巨匠建築家と光のデザイン
ようこそ、光溢れるDIYハウスへ!…アントン・ウォールマン
Swedish Celebrities News…スポーツ/デジタル/女性
スウェーデンカルチャー…名盤ディスコグラフィ/映画/人間ドラマ/ベストセラー/絵本/ファッション/現代アート/サーミ
スウェーデンの日用品
暮らしの植物図鑑
おもてなしフィーカ
郷土のごちそう
スウェーデンはユートピア?…政治/経済/仕事事情/社会保障/男女平等社会の本質/環境/未来と日本との関係
スウェーデンで犬と暮らそう
ストックホルム街歩きガイド…基本情報/カフェ/レストラン/リラックススポット/アート/Loppis(蚤の市)/ヘムスロイド/ホテル/小旅行
TRANSIT
世界のさまざまな風景やファッション、食、音楽などの文化を、“旅”というフィルターを通して紹介するトラベル・カルチャー・マガジン。現地の空気感を伝える美しい写真と文章により、世界を見つめる新たな視点を提案し続ける。





