ふだんづかいの人類学 気づきと観察の力を磨く19の練習 / 著者・ニコラ・ノヴァ / 世界文化社
観察の練習
自分が社会人になりたての頃、営業職になったこともあり、数多くの大人たちと一気に関わるようになった。それまではなけなしのバイトの経験などで多少なりとも、目上の方たちと会話するくらいのことはしていたのだが、何というかそれが日常になるにつれ、自分のものの知らなさを恥じるようになったのだ。
そこから今まで全然読んでこなかった本を徹底的に読み始めた。社会人一年目のことだった。手当たり次第に気になった本を買い、3から5冊くらいを同時に読んでいたと思う。そこで意識していたのは、同時に読んでいる本の中で共通していっていることと、論考が異なることを見つけるということだった。一時期は読書ノートならぬものもつけており、その内容をまとめていたりもしたのだ。
それもどこかの本に書いてあったことのように思うのだが、クリエイティビティ、つまり創造性というものは共通点と相違点の中から生まれるということを読み、まずは読書の中から実践してみた次第だった。それが功を奏したのかどうか分からないけれど、今での何かを観察する時の一つの指標に共通点と相違点は何なのかを無意識に考える癖が身についたようだった。
この自分のオリジナルの観察眼について思い出したきっかけになったのが、本書『ふだんづかいの人類学 気づきと観察の力を磨く 19の練習』だった。フランスの人類学者・ニコラ・ノヴァが、長年のフィールドワークで培った「観察」の方法を通じて、世界の変化に自分で気づくための「観察力」を鍛える19のエクササイズを提案している本書。発見は足元に、そして観察は身体と感覚を駆使する活動といっているように、「関わり、学び、感じ取る」ことを重視する人類学の思考法で自分自身の五感を使って世界の手触りを感じる実践的なエクササイズがまとまっているのだ。きっと本質的な「気づき」の力を鍛えられるはずだ。
雑多な情報が氾濫する現代に、必要な情報から精度の高い仮説を立てて実行するための思考法。あなたも観察の練習をしてみてはいかがだろうか。
<目次>
●気づく
エクササイズ1 (不)完全に網羅する
エクササイズ2 自問自答
エクササイズ3 動きのマッピング
エクササイズ4 歩く
エクササイズ5 聞き耳を立てる
エクササイズ6 動作と姿勢
エクササイズ7 すき間を探る
エクササイズ8 集中しない
●関わる
エクササイズ9 触る
エクササイズ10 街頭インタビュー
エクササイズ11 仲間に入る
エクササイズ12 案内してもらう
エクササイズ13 常識に逆らう
●集める
エクササイズ14 定点観察
エクササイズ15 知識のコレクション
エクササイズ16 モノのデータベース
エクササイズ17 新しいボキャブラリー
エクササイズ18 収集と分類
エクササイズ19 自分だけの観察法
ニコラ・ノヴァ
1977年生まれのフランスの人類学者。専門はテクノロジー・デジタル文化。ジュネーヴ造形芸術大学(ヨーロッパ最高の美術大学のひとつ)の教授。デザイン・フィクションを専門とする先見機関Near Future Laboratoryの共同設立者でもある。




