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直観を磨くもの: 小林秀雄対話集

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直観を磨くもの: 小林秀雄対話集 / 著者・小林秀雄 / 新潮社



ものを考えていく




言葉は不思議なもので、その時掛けれられた言葉が後になってからじんわりと効いてくるということがある。恩師に掛けられたそれや親から言われ続けていたこと、そんなことが時間が経った後、しかもその言葉をかけた当の本人が居なくなってしまってから湧水のように出てくることがあるので、言い返しもできないしなんだかバツが悪いのだ。

本もそうだ。購入した時や手に取った時にはなんだか頭に文字の意味が入ってこなくとも、時間が経って再びその本を開いた時に妙に腑に落ち、最初にページをめくっていた頃になぜこんなに良い文章があったはずなのに、理解に及ばなかったのか甚だ疑問に思ったりもするのだ。

言葉にはそんな時間性を帯びるということが言えるのであれば、言葉を使った対話や会話にもその性質が隠れており、会話をしている時にその話者と対峙している人に言葉を受け入れる器のようなものがない限り、相手には届かないし、その言葉たちは意味を帯びることができずに、空の中に漂うしかないのではないだろうか。

さて、本書『直観を磨くもの: 小林秀雄対話集』にはそんな対話の中での言葉たちが一冊におさめられている。さまざまな方たちとの対話が収録されている中で共通するテーマは「直観」。感覚で何かを判断する「直感」を使っていないことがミソなのだが、本質を射ぬく目、としての「直観」を養う方法とは何か。類い稀なる慧眼の士、小林秀雄が各界の第一人者十二名と語り合う中に、そのヒントは立ち上る。

思考停止を招く「○○主義」、芸術作品を曇らせる浅薄な「知識」、空論化する「弁証法」……。文学・絵画・演劇といった「芸術」、哲学・思想・科学といった「論理」、そして人間力といっていい「教養」。小林秀雄の直観を探る格好の対話集。

ともすると、話者との間にも空に浮かんでしまっている言葉があるかもしれない。けれど当の本人たちが知ってか知らずか、一言一句が本という形の中に言葉を留めてもらっているからありがたい。

言葉を交わすことで考えがまとまっていっているということが可視化された一冊。


あなたの「直観」の支えになることに気がつくのは、時が経った頃かもしれない。




<目次>
三木清 実験的精神

横光利一 近代の毒

湯川秀樹 人間の進歩について

三好達治 文学と人生

折口信夫 古典をめぐりて

福田恆存 芝居問答

梅原龍三郎 美術を語る

大岡昇平 文学の四十年

永井龍男 芸について

五味康祐 音楽談義

今日出海 交友対談

河上徹太郎 歴史について

「わかる」ことと「わからないこと」のはざまで 石原千秋



小林秀雄
東京生れ。東京帝大仏文科卒。1929(昭和4)年、「様々なる意匠」が「改造」誌の懸賞評論二席入選。以後、「アシルと亀の子」はじめ、独創的な批評活動に入り、『私小説論』『ドストエフスキイの生活』等を刊行。戦中は「無常という事」以下、古典に関する随想を手がけ、終戦の翌年「モオツァルト」を発表。1967年、文化勲章受章。連載11年に及ぶ晩年の大作『本居宣長』(1977年刊)で日本文学大賞受賞。2002(平成14)年から2005年にかけて、新字体新かなづかい、脚注付きの全集『小林秀雄全作品』(全28集、別巻4 )が刊行された。

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