千利休 / 著者・清原なつの / 本の雑誌社
利休の面影
茶を嗜む人たちにとってはきっと千利休という人物は神様のような人なのでしょう。そうではない人たちにとっても日本史の授業では戦国時代に茶において日本の美意識というものを確立した人という認識がある方も多いのではないのでしょうか。茶室の中では身分や肩書きを置いておいて、皆平等に茶を嗜むという状況を確立したというところは、茶の技術云々というよりかは、人間力そのものだなと感じるのです。
そんな確実に日本人の美意識の転換点の一つのきっかけとなった人物『千利休』の人物像を描いた本・漫画がこちらの『千利休』です。
茶の湯とは何か、わび茶とは何か、
そして千利休とは
いったい何者だったのか?
子供から大人まで楽しめる
清原なつの版千利休伝です。
哲学的なSF系ファンタジーを描く漫画家として、性別を問わず幅広い読者に親しまれている清原なつの。その清原なつのによる(わび茶)の完成者・千利休の伝記漫画です。財力も権力も手に入れながら、茶の湯の境地も開拓しつつ、しかし常に「いったい自分は何者なのか」を自問し激しく葛藤し続けた人間・千利休を、清原なつのならではのソフトでコミカルな筆致としみじみする思索的な深みをもって描いています。
著者自身による解説(歴史的なイベントや茶器・茶碗など)も充実しております。
千利休を改めて知りたい方におすすめの一冊です。