イネという不思議な植物 / 著者・稲垣栄洋 / 筑摩書房
チカラの源の謎
東京で生活した頃、基礎体温というものがかなり低かった。手足は年中末端冷え性といった感じで冬になればその肌の色は常に薄紫色に変色していたように思う。ご多分に漏れず、健康とはかけ離れた状態で風邪や病気とまではいかないまでも、体調が絶好調という日は限られていたように思う。
信州の冬は寒い。他県から比べれば5℃ほど気温差があるのではないだろうか。信州・上田に移住してきたのが2月の頭だったので、そんな状態だった自分からしてみれば、さらなる体調悪化は必至だったのだ。その頃の食生活、特に朝食に限っていえば、パン食が中心の生活。お米といえば夕飯にお茶碗一杯の量を食べるくらいだった。移住直後も東京時代と変わらずそんな日々を過ごしていたのだが、どういうわけか、もともとの低体温からそれに拍車をかけ体がどんどんと冷えてくるし、チカラが湧いてこないのだ。
これは困ったということで、ものは試しに、朝食のパンを辞め、お米を食べるようにしたところ、体の内側から熱が生まれてくるのを感じ、スタミナなども上がったような気がした。そしてそれを1週間、3ヶ月、1年、そして5年と続けているうちに、いつの間にか基礎体温は理想と言われる36.5℃をキープするに至っている。
気候的な相性なのか、体質なのか、それとも本来のお米の持つチカラなのか。
今では、まんが日本昔ばなしの中で出てくるようなお茶碗にお米がてんこ盛り状態のお米を毎日2食は欠かさずに食べている。
さて、そんなお米、イネの謎を解明しているのが本書『イネという不思議な植物』だ。植物の常識に照らすと、生態が少し奇妙なイネ。だがそれゆえに、人に深くかかわりその生活や歴史までも動かしてきた。日本人の精神性にまで深く根付いているうイネとは何か、なぜ人を魅了してやまないのだろう。その秘密にせまる一冊。
<目次>
第1章 米って何だ?(お米はイネの種子
米は芽を出すか? ほか)
第2章 イネという植物(イネとはどんな植物だろう
日本の米と世界の米)
第3章 田んぼというシステム(水浸しの平野
田んぼに水を入れる理由 ほか)
第4章 米で読み解く日本の歴史(日本の米がやってきた
東日本にイネが広がらなかった理由 ほか)
第5章 米と日本人(苗字はイネの苗
ひな祭りも子どもの日も田んぼの行事だった ほか)
稲垣 栄洋
1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わるかたわら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する著述や講演を行っている。『植物はなぜ動かないのか』『雑草はなぜそこに生えているのか』『はずれものが進化を作る』(以上ちくまプリマー新書)『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察記』『身近な虫たちの華麗な生きかた』(以上ちくま文庫)他著書多数。
