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宇宙生物学者プラテス 下

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宇宙生物学者プラテス 下 / 著者・さらみ / トゥーヴァージンズ




在る世界




人生で何度かブラックアウトした経験がある。
ある時はデンマークの首都コペンハーゲンのメトロの階段を歩いている時に、またある時は東京での打ち合わせの時にトイレに立った時などに。両方とも体調がすぐれなかったわけでも元々貧血持ちというわけでもないのにだ。
打ち合わせの時は一瞬にして目の前が真っ暗になり、そのすぐ後の瞬間にどこかの石畳の街を優雅に闊歩しているような風景が広がった。自分一人だけというわけではなく、本当に現実のような他の人たちも周りにいる普通の街だった。
けれどそこをしばらく歩いているとさっきまで打ち合わせをしていた同僚が自分を呼ぶ声と肩を叩かれている感覚があり、その感覚にフォーカスを当てると何故か力無く座り込んでいる現実の自分がいた。同僚たちの配慮もあり、その後大きな病院にタクシーで救急外来にかかり、ある程度の検査をしても何も異常なしで健康体ということだった。

夢のようだけれど、確かに現実と見分けがつかないくらい自然だったあの風景はなんだったのだろうか。自分の経験したことは信じるタチなのでこういった世界が在るということは自分の中で確かな感覚として今も残っている。

さて、空を掴むような不思議な体験談をお送りしたが、まさしくこんな世界と近しい内容が漫画としてまとめられているのが、本書『宇宙生物学者プラテス』だ。

主人公のナギと幼馴染のユータロー、そして親友の凛。この三人の高校生を軸に高校生最後の夏に起こる不思議な出来事が上下巻でまとまっている。思春期真っ只中で「人生ってこんなもんなの?」と自分の人生に対して素直に肯定的に捉えることができない、あの頃特有のエネルギーや感情を思い出してしまうような内容。漠然と不安を抱えているそんな中、夢の中で宇宙人のプラテスと出会う。彼との交流から様々な人生の気づき、いや人としての在るべきマインドセットに気付かされる様子が丁寧に描写されている一冊。


自分もあの不思議な風景をもっと進んでいたらプラテスに出逢えたのかもしれない。

 

上下巻セットでお求めいただき、一気に読んでいただくことをおすすめしたい。

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