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新百姓 第003号「音を楽しむ」

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新百姓 003号「音を楽しむ」 / 編集長・おぼけん、発酵人・施依依 / 一般社団法人新百姓



自然と織りなすリズム



週のどこかの一日は息子の保育園のお迎え担当になる。保育園生活もようやく折り返し地点を過ぎ、息子も大好きなお友達や馴染みの先生たちとの生活が楽しいらしく、お迎えに行くと「どうして迎えにきたのか」と問いただされ、逃げ回るといった毎度お決まりの調子になる。

そんなある日、僕が夕方迎えに行くといつも通りまだ帰りたくないのか園内を逃げ回って行った。お決まりのパターンと渋々息子の向かった方向に歩みを進めると、どうやら僕から逃げるという目的をすっかり忘れ、ご機嫌に歌を歌い始めたのだ。

時間も切羽詰まったものはないのでその様子を少し離れて見ていたら、息子が僕から逃げ回ることを見兼ねて心配して一緒に息子を追いかけていた同じクラスの女の子が息子の場所に合流し、息子の歌う謎の歌声に合わせて、それに呼応したダンスを踊り始めたのだ。

まさしく即興、ジャズのインタープレイよろしく、自らの中から自ずから湧き出した音を歌声に変え発し、その声を受けて体がこれまた自らの意思とは別のところで動き出してしまったような、二度と出会えない奇跡の多幸感あふれる光景に出くわしてしまったのだ。息子とその女の子の間には外からは理解できないグルーヴがそこに生まれ、確かにそこには「音を楽しむ」という原初来の姿が立ち現れたのだった。


本書『新百姓』の003号のテーマ「音を楽しむ」のページをめくっていると、ある日のそんな息子たちの光景を思い起こさせてくれた。


さて『新百姓』では、「なぜ人類はいまだに毎日を遊んで暮らせないのか?」
(Why can’t we be playful everyday?)を根底の問いに掲げている。

効率性や規模の拡大を最優先に追求する経済のあり方、
人間一人ひとりがそれに従順であるように求められる巨大な社会システム。
そういったものに疑問を持ち、それを単に敵として抗うのではなく、
その巨大なシステムすら遊び道具として活用する、
そんな新しい生き方を探究している人たちの
問いと実践の物語を紹介する雑誌です。

毎号、古来から人間が行ってきた根源的な営みを1つずつ特集テーマに掲げ、
その意味を深め、捉え直して転回することを試みます。
3号のテーマは、「音を楽しむ」。


「音を楽しむ」という営みは本来、どこまでも「遊び」だけで成り立つ営みでしょう。

生死に大きく関わるものではないからこそ、本来、明確な美しさの基準や正しさはないはずです。

それでも私たちは、「良い音楽」「悪い響き」「上手な演奏」「下手で音痴」といった考えを、多かれ少なかれ持っています。

これらは、どこから来るのか。本当にあるのか?


「上手・下手」「良い・悪い」「優劣」…

いつしか私たちに内面化された価値基軸を剥ぎ取った先にある、

「音を楽しむ」に秘められた創造の余白と喜びに再び出会う一冊です。




■目次
015 Chapter 01 新百姓的考現学
016 どうすれば私たちは、今の自分に囚われずに未知を楽しめるか?
   DJ SUMIROCK
028 ハッキンチェア

030 Chapter 02  特集 音を楽しむ

1) 文明と物語の視点から
042 そもそも人間にとって「音を楽しむ」って何?
   [インタビュー] マイケル・スピッツァーさん
058 人類と「音を楽しむ」のコンテキスト
062 そもそも「音」って?
064 「鳴らす」「聴く」の身体メカニズム
068 音にまつわる各地の神話
070 「音を楽しむ」のセンパイ探究者 小泉文夫
074  「音を楽しむ」で遊ぶ [ 数学の視点から]
   [寄稿] イノウヱ タクヤさん

2) 文化と価値の視点から
082 「音」にはどんな楽しみ方があるのか?
   [インタビュー] 野村 誠さん
096 いま、うしなわれつつある風景 | 拝殿踊り
102 糸波の構造 | 八月踊りってなんだ?
110 道の具 | 踊り下駄
114 [寄稿]焚き火の音が壊す、古い秩序 大石将司さん

3) 知恵と技の視点から
120 イマ・ココ・ジブンから音を楽しむには? ①
   [インタビュー] 笹井 直さん
130 宇宙交響曲
134 イマ・ココ・ジブンから音を楽しむには? ②
   [インタビュー] 飯干 好美さん・彩有さん親子
146 さまざまな「声」の遊び方
148 さまざまな「聴く」の遊び方
154 3号プロジェクトメンバーおすすめ 私の「音」の楽しみ方
158 一隅から | yato
160 やってみた。| 身のまわりの材料で楽器をつくる

4) 科学と道具の視点から
170 どうすればテクノロジーでもっと音を楽しめるか?
   [インタビュー] 金箱 淳一さん
182 レベル別「音を楽しむ」の道具
184 ハンドツール | minore
188 「楽譜」という共奏の道具
192  「音を楽しむ」で遊ぶ [ 建築の視点から]
   [寄稿] 大野 宏さん

206 新百姓的音楽祭へのお誘い
208 23世紀の昔話 | ハーメルンの笛吹き男
210 YABABON [003号参考図書]
214 「音を楽しむ」探究の旅 ツールガイド
226 編集後記

229 Chapter 03 巻末付録
230 『新百姓』99のテーマ
232 写真解説
237 じぶん革命! Revolubon!
238 新百姓、これまでの物語
240 読者からのお便り
243 『新百姓』が遊びながらつくりたいもの
244 『新百姓』取扱店
247 新百姓さざなみ応援団の皆様


■概要
発酵部数|13,296部限定、初回発酵3,500部。全てに手作業でシリアルナンバー打刻
定  価|3,150円(税込)
=いざつくろう!サイコウ!
判  型|B5変形判
頁  数|248P(フルカラー)
ISBN978-4-910961-05-7

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