面影 book&craft

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now loading / 著者・阿部大樹 / 作品社




内省の鏡




子どもと一緒に生活を営み始めて2年が経つ。赤ん坊だった頃の無垢で手をかけないとどうにかなってしまうような存在の面影は今はなく、自分というものが画一してきて彼のこれやりたい、あれやりたいと、我々大人のこうしたいとの折り合いをどうつけていくのかといった毎日だ。けれどその中で彼なりの着眼点や譲れない部分というものにぶつかることで自分の内面を見せられているかのように思えてくるのが不思議なことだ。もちろんその時はイライラやモヤモヤが先に来ているのだが。第一それが全くの赤の他人だったら、その人のああしたい、こうしたいにそこまで踏み込むこともないのだから、この親子という関係は自分自身の成長の何かの糧になっているはずなのだろう。そうして彼が成長していくにつれて、きっとそんなことすらも思い出せなくなってしまうのだから寂しいものだ。噛み締めよう、この感覚を。


さて本書は精神科医で翻訳家の阿部大樹さんが、はじめて言葉を話した日から

はじめて嘘をついた日までの記録をつけた育児日記だ。

私たちが普段経験している子育てを精神科医の視点で言語化していくところがとてもユニークなポイントで、なるほどと考えさせられるとところがたくさんある。



精神科医で、翻訳家で、一人の親

進んで止まってまた進む、こどもと過ごす日々


子育て・育児をしている方たちに読んでもらいたい一冊。




<目次>

2023.1.29 はじまり(と連続性について)

2023.3.8 仕組み

2023.3.13 「他人の促成栽培した植物」

2023.3.15 作者が意図しているのは

2023.3.16 初桜ちゃん

2023.3.19 バシャン

2023.3.24 熱を出す

2023.3.26 名札をシーツに縫いつける

2023.4.14 四月の、病棟の雰囲気

2023.4.17 砂糖貿易のために何も産まなくなった島

2023.4.19 誰かの隣で寝る

2023.4.23 エキゾチック王様

2023.4.26 ブルーノ・マーズ

2023.5.1 産褥期にはマスカット

2023.5.4 不存在と時間

2023.5.8 連休の緊張感について

2023.5.14 チェヴェングール氏

ほか



阿部大樹
1990年新潟県生まれ。精神科医。著書に『Forget it Not(作品社)、『翻訳目録』(雷鳥社)。訳書にジュディス・L・ハーマン『心的外傷と回復 増補新版』(共訳)『真実と修復』(共にみすず書房)HS・サリヴァン『精神病理学私記』(共訳、日本評論社)『個性という幻想』(講談社学術文庫)、ルース・ベネディクト『レイシズム』(講談社学術文庫)、ヘレン・S・ペリー『ヒッピーのはじまり』(作品社)、ジェイムズ・スティーヴンズ『月かげ』(河出書房新社)がある。

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