おとしより-パリジェンヌが旅した懐かしい日本- / 著者・イザベル・ボワノ、翻訳・トリコロル・パリ / パイインターナショナル
そこにある確かなこと
いつも行っていた馴染みのお店が、ある日突然閉店を告げる挨拶がもう開くことのないであろう静けさを纏ったシャッターに寂しげに貼られているのを見るなんて経験がある人も多いのではないでしょうか。『いつまでもあると思うな親と金』という言葉があるように、個人経営のお店は特にですがいつの間にか、なんてことはしょっちゅうだと思います。そんな方は「ああ、行こうと思っていたのに。。」って思う前に行きましょう。今すぐに行きましょう。
この『おとしより-パリジェンヌが旅した懐かしい日本-』はフランス在住のアーティストでイラストレーターのイザベル・ボワノさんが足繁く日本に通った記憶をイラストと素敵な文章でまとめているのですが、本書の中にもイザベルさんがお気に入りだったお店や喫茶店などがある日突然なくなってしまったことを悲しんでいるところがありました。そうした体験をイザベルさんが振り返るにつけ、日本の諸行無常という観念になんとなく辿り着き、最後のページの方ではそんなことを悟っているのがなんだか可笑しかったりもします。同時にこうしてイザベルさんのイラストと記憶にしっかりと残っているのを感じられ、現実には閉店してしまったお店もまだ記憶の中では生き続けているのだと感じさせられます。
海外の方から見る日本。
そして哀愁漂う日本でも記憶を味わってみてください。
＜目次＞
喫茶店
お菓子
レクリエーション
移動手段
食べ物
ファッション
社会
イザベル・ボワノ
フランス在住のアーティスト、イラストレーター。雑誌や書籍、雑貨、広告などさまざまな分野で活躍中。著書に『シンプルで心地いいパリの暮らし』(ポプラ社)、『わたしのおやつレシピ』(小学館)、『パリのかんたんお菓子 レシピ&ラッピングペーパーブック』(パイ インターナショナル)などがある。
トリコロル・パリ
フランス在住の荻野雅代と桜井道子からなるユニット。サイトやSNSを通じて、パリとフランスの最新情報を独自の目線で届けている。『フランスの小さくて温かな暮らし365日』(自由国民社)、『パリが楽しくなる! かんたんフランス語』(パイ インターナショナル)など著書多数。
