月の裏側 (日本文化への視角) / 著者・クロード・レヴィ=ストロース 、翻訳・ 川田順造 / 中央公論新社
日本人という不思議さ
クロード・レヴィ=ストロースをご存知でしょうか。
『野生の思考』などの著書で知られる20世紀後半の思想家であり社会人類学者の1人です。親日家として知られた著者が1970年から2001年の間に日本について書かれた文章が編纂され一冊にまとめられた本書『月の裏側』。まずこのタイトルが何のことなのだろうか、と興味を掻き立てられます。
ページを捲ると、何とも不思議な日本人という民族について著者が考察している内容がおさめられています。確かにヨーロッパの人たちからしたら日本人という民族はいつも同じ面だけを向けている夜空に浮かぶ月のごとく、よくわからないという意味でその裏と表現したのでしょう。
虫の鳴き声に風情を感じ、物事に対して多くの意味を持たせる私たち日本人を海外からの視点からメタ認知できるような内容になっています。
是非日本人という不思議さを体験してみてください。
<目次>
世界における日本文化の位置
月の隠れた面
因幡の白兎
シナ海のヘロドトス
仙厓 世界を甘受する芸術
異様を手なずける
アメノウズメの淫らな踊り
知られざる東京
川田順造との対話
レヴィ=ストロース,クロード
1908年11月28日、ブリュッセル生まれ。1959年から82年までコレージュ・ド・フランスで社会人類学の教授を務める。73年、アカデミー・フランセーズ会員に選出される。2009年10月30日、パリにて逝去
川田順造
1934年(昭和9年)、東京に生まれる。東京大学教養学部教養学科(文化人類学分科)卒、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。パリ第5大学民族学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授、広島市立大学国際学部教授、神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科教授を経て、神奈川大学特別招聘教授、神奈川大学日本常民文化研究所客員研究員。2009年(平成21年)、文化功労者