ニワシドリのひみつをもとめて: ものづくりする鳥のふしぎをさぐる旅 / 著者・鈴木まもる / 理論社
未だ見ぬ冒険
新居に越してきて庭づくりが進んだ、2年目となる今年。庭には低木から中木を色々と植えてみている。足元にはハーブ類をはじめ野菜なども育てているし、それが自然農で刈り取った草を畝にどんどん敷いているので、その下の土には微生物や小動物や虫の宝庫になっている。しばらくそんなことを続けていると、ある時から、特に春先からだっただろうか、色々な種類の鳥が飛来してくることが多くなった。冬にはジョウビタキ、田植え時期には白鷺が、タイミングが合えばキジにだって会うことができるのだ。そんな人間の過度な手が入っていない自然の循環が目の前で繰り広げられている美しさにただただ見惚れてしまうのだった。
ある時、そんな鳥たちの巣は一体どこにあるのだろうかと疑問に思うことがあった。餌となる小動物や虫たちを求めうちの庭にやってくるものの、それらの住まいとなっている巣は見たことがない。鳥を追いかけてその場所を探りたいものだけれど、空を飛べる鳥と人間だとどうしても太刀打ちすることができずに、巻かれてしまうだろう。未だ見ぬ巣は一体どこにあるのだろうか。
さて、本書『ニワシドリのひみつをもとめて: ものづくりする鳥のふしぎをさぐる旅』は、巣ではないけれど美しい「あずまや」と呼ばれる造形物を創る庭師鳥に魅せられた著者の鈴木まもるさんが旅をしながらその不思議な生態系を解き明かしていく物語になっている。物語を読み進めていて驚くことが鈴木さんの探究心の大きさと行動に移していくバイタリティだろう。探し求めていた庭師鳥の「あずまや」を見つけた時は読んでいる自分も大きな喜びを得るような感じになるほど、その熱量を感じ取ることができるはずだ。オスは何のために「あずまや」を作るのか? なぜ、そんな習性になったのか? この疑問を、長年、鳥の巣研究をしてきた著者が解き明かしていく冒険物語。
鈴木まもる
絵本作家、鳥の巣研究家。ぐうぜん出会った「鳥の巣」の美しさにひかれ、世界中の鳥の巣をさがし、集める旅をつづけている。主な絵本に『鳥の巣の本』『ニワシドリのひみつ』(岩崎書店)『ぼくの鳥の巣絵日記』『ピン・ポン・バス』(偕成社)『鳥は恐竜だった』(アリス館)『せんろはつづく』(金の星社)『戦争をやめた人たち』(あすなろ書房)『みんなあかちゃんだった』(小峰書店)など。

