面影 book&craft

照葉樹林文化: 日本文化の深層

販売価格 価格 ¥726 通常価格 単価  あたり 

税込 配送料は購入手続き時に計算されます。

照葉樹林文化: 日本文化の深層 / 著者・上山春平 / 中央公論新社




ルーツを探る




父が亡くなった時に今までに会ったことのない親戚が一同に集まった。特にいままで父方の親戚とはあまり繋がりというものがなかったこともあり、その時がはじめましての方々が多かった。よく故人が最後に親戚同士を引き合わせてくれる役目になるというが、まさしくそんな感じだっただろう。でもどういうわけか、はじめてあったはずなのにどこか顔の輪郭や鼻の形、全体の雰囲気などなんとなくなのだが、父や自分と似ているところがあり、自分の周りにも当たり前なのだが、血という繋がりがあるんだなと感じることができた。父の従兄弟と思われる方と話をした時、自分の曽祖父の話になり、宮城の気仙沼のあたりで地元のローカルの情報を集めた新聞の編集・印刷などを行っていたそうだ。不思議なことに今の自分が行なっている仕事などにも近しく、見た目の形だけでなく、脈々とながれている通奏低音を感じることができたのだった。


では我々日本人はどうだろうか。一個人のルーツであっても思わぬ場所で時空間を超えて同じようなことをやっていたりするのだから、スケールを変えた日本人という括りで考えてみたら、何か面白いことがわかるのではないのかなんて思ってしまう。こんな疑問の一つの拠り所になり、糸口になるのが本書『照葉樹林文化: 日本文化の深層』だ。

日本文化の源流をたどりつめると、縄文の世界が現出する。しかし、これまでの考古学、民俗学等の研究成果にもかかわらず、稲作技術渡来以前の文化=縄文文化については、必ずしも十分な考察が進められているとはいいがたい。現在必要とされているのは、広い分野の人びとの協力により、新しい視点・方法を提示することではなかろうか。ここにシンポジウムを開き、日本文化の原型を東アジア世界との関連の下に考察し、国際的な観点を探った一冊。

産業革命以降勃興しているヨーロッパ的な大衆情報文化、それ以前の農業革命以降に勃興した支那を中有心とした農業社会的文化、本書ではさらにそれ以前にあったと思われる縄文や石器文化の礎になったであろう、日本から中国、東南アジアくらいまで広がっている照葉樹林をベースにした生活文化に焦点を当てている。

スタジオジブリの『もののけ姫』を制作する際に、宮崎駿が入念に調べ上げたと言われるこの照葉樹林文化論。ページを読み進めると、人間社会での自分とは何か、そして生き物としての人間とは何かを考えさせられる一冊。

初版発行が1969年にも関わらず今も発行が続けられる本書。好奇心をくすぐられること、間違いなしなのだ。

x