Coyote No.87 皆川 明の道しるべ ミナ ペルホネンのいま / スイッチパブリッシング
形の奥にある灯
デザイナー・皆川明さんと初めて出会ったのは、minä perhonen eläväで友人のデンマークの陶芸家・Anne Blackから彼女の展示を観に来ないか、という誘いを受けて足を運んだ時だった。元々日用品を陶器で作陶する彼女なのだが、そのスタイルは少しアーティストめいたものが多く、この展示も「BOTANISK」展と題された植物をモチーフにした花器を中心にした展示だった。展示会場には皆川さんもおり、3人で一緒に展示を見る傍ら、「なんか植物みたいで、素敵ですよね」と呟いているのが印象的だった。その言葉の余韻の中には、デザインされたものや作られたものの存在の奥にある、ある種の輝きのような灯を見たようなそんな趣きを感じることができた。なので皆川さんは僕にとってものの奥を眺めているような人という印象なのだ。
さて本書『Coyote No.87 皆川 明の道しるべ ミナ ペルホネンのいま』は、2025年創設30周年を迎えたブランド「ミナ ペルホネン」のデザイナー、皆川明の現在地を探る特集。
2025年11月、世田谷美術館で展覧会『つぐ minä perhonen』がはじまった。2019年に開催された展覧会『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』から現在に至るまでの約6年間は、皆川明にとって変化の時期であった。ブランドの代表の立場を後進に託し、自らはデザインの仕事に徹するとともに、個人のアートワークにも創作活動の幅を広げていく。
一人の表現者としての皆川明のいまを、創作現場の取材やインタビューとともに紐解いていく。
この一冊にまとめられた内容を見れば、皆川さんがものの奥に見ている、感じている世界がわかるだろう。



