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コレットの地中海レシピ

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コレットの地中海レシピ / 著者・シドニー=ガブリエル・コレット / 水声社




食通理念




グルメとは一体なんだろうか。美味しいお店を知っている人なのはもちろんのこと、時と場合に応じて今日はどのお店でどんな料理を食べようと組み立てられるような人なのかもしれない。例えそれが行き当たりばったりでも、周りの人たちにはそうしたことを悟られずに、いつだってスマートに。店内に入ればそこが蕎麦屋であれば酒の前に蕎麦湯を一杯いただくことで悪酔いをしなくなることを教えてくれた。それも押し付けがましくなく。宴を楽しみそろそろお開きかってタイミングでもいつの間にお代を済ませて、さっと店の外に。後腐れなく美味しかったね、またね、といった感じで立ち去っていく。僕の中でグルメな人とはこういう粋な人なのだ。


さて、本書『コレットの地中海レシピ』は著者のシドニー=ガブリエル・コレットがさまざまな場所で寄稿した食にまつわるエッセイをまとめた一冊になっている。素朴で豊穣な、昔ながらのフランス料理の真髄が詩的な言葉から紡がれた、ある種の風景を見させられているような感覚になる一冊。踊り子をしながら著名なシャネルらとの交流やその反面慎ましやかな生活や暮らしの中での描写、そしてコレットに思考や思想に粋を感じてしまう。エピソードの後に描かれる一つ一つのレシピも余計なことは一切書かずにとてもシンプル。それも彼女の潔さの現れなのかもしれない。


グルメの先駆けでもあった女性作家によるエッセイ。

ぜひご賞味あれ。




<目次>

1 葡萄の木のある家 地中海の田舎にわたしの家をつくった頃

2 「ベラヴィスタ」と呼ばれる地中海の宿の女主人たち わたしの家が出来るまでの序

3 地中海はわたしの台所 森の薪を燃やして魚を焼く宵

4 わたしの田舎の家からの遠足 廃墟の僧院へ三世紀をさかのぼる夏草のなか

5 プロヴァンスの優しい休息 炉を焚いて炎と語るパントマイム

6 炉の灰に埋めてローストチキンはできあがる フランスの美味の基本理念

7 昔風牛肉煮込みはおさとうを入れるだけ マダム・イヴォンヌは講釈しない

8 世紀末乳母のお乳を吸わされたわたし そしてこども時代のおやつは

9 もう料理レシピはうんざり コレットさんの『ヴォーグ』誌の料理記事

10 葡萄酒は冬の宵ごとたのしく煮え立っていた わたしのブルゴーニュ

11 はしばみの沈黙におもうこども時代への挽歌

12 シャネルにコートを作ってもらう

13 マルセル・プルーストからコレットへ

14 コレットよりマリー・ローランサンへ

15 ファルグ氏が語るコレットへの讃歌 幸せを世紀の末まで語りつぐ女


編訳者あとがき




シドニー=ガブリエル・コレット
1873年、フランス、ブルゴーニュ地方のサン゠ソヴール゠アン゠ピュイゼに生まれ、1954年、パリに没した。最初の夫ウィリとともに、「クローディーヌ」ものを書いて作家デビュー。その夫と離婚後、パントマイム役者や踊り子として生計をたてるかたわら、その華麗な恋愛遍歴をもとに執筆活動を行う。マルセル・プルーストやアンドレ・ジッドにその作品を賞賛され、交流のあったシャネルやマリー・ローランサンらとともに、自立した女性の先駆けとしてシンボル的存在でもあった。主な著書に、『青い麦』(1922年)、『シェリ』(1920年)、『踊り子ミツ』(1919年)など多数がある。

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