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一日の終わりの詩集

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一日の終わりの詩集 / 著者・長田弘 / みすず書房



オレンジ色の言葉の中で



一日の中で一番好きな時間は16時から17時のように思う。特に季節が穏やかになった秋のこの時間は季節の中のクライマックス、もしくはその後に続く冬が無色の世界ならば、秋は一本の季節という映画のエンドロールを眺めているようなそんな気さえしてくる。

こうした秋の16時から17時くらいの時間帯に息子の保育園にお迎えに行くと、息子を含めて園児たちが所狭しと園庭を駆け回り、それぞれがそれぞれの時間を全力で生きている光景を目の当たりにする。そしてその光景をオレンジ色の夕日が包んでくれているようで、内心、ああこんなに美しい風景は他にどこにあるのだろうか、なんてことを思ってしまうのだった。

さて、本書『一日の終わりの詩集』はまさしく人生の秋を唄ったそんな詩集だ。作者は皆さんご存知の長田弘さん。
「人生ということばが、切実なことばとして感受されるようになって思い知ったことは、瞬間でもない、永劫でもない、過去でもない、一日がひとの人生をきざむもっとも大切な時の単位だ、ということだった」と語るように、長田さんの他の詩集にも増してさらに丁寧な言葉選びと表現がなされいる印象だ。

つまるところ、詩とは過ぎゆく時間と対峙して、自らとことばを確保する営為ではなかろうか? この20世紀の終わりという100年の長い一日の終わりを前にして、これまで素の自分をナマのかたちで表現すること少なかった詩人=長田弘が、はじめて、凛としていさぎよく、自らの〈人生の秋〉を詩った「私」詩篇。

今から26年前に綴られた言葉は、今も私たちをオレンジ色の言葉で包み込んでくれているだろう。



<目次>


いま、ここに在ること

  人生の材料

  記憶

  深切

  愛する

  間違い

  言葉

  魂は

  経歴

  老年

  惜別

  微笑だけ

  哀歌

  自由に必要なものは

  空の下

  穏やかな日


マイ・オールドメン

  緑雨のふふん

  露伴先生いわく

  鴎外とサフラン

  二葉亭いわく

  頓首漱石


一日の終わりの詩

  午後の透明さについて

  朱鷺

  新聞を読む人

  意味と無意味

  Passing By


あとがき



長田弘
詩人。1939年福島市に生まれる。1963年早稲田大学第一文学部卒業。1971-2年北米アイオワ大学国際創作プログラム客員詩人。詩集に、『われら新鮮な旅人』(思潮社・現代詩文庫)『黙されたことば』(みすず書房)『記憶のつくり方』(晶文社)など。著書に、『詩は友人を数える方法』(講談社・文芸文庫)『本という不思議』(みすず書房)『定本 私の二十世紀書店』(みすず書房)『子どもたちの日本』(講談社)など。

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