フランク・ロイド・ライトに学ぶ50の建築レッスン / 著者・アーロン・ベツキー、ギディオン・フィンク・シャピロ / グラフィック社
建築に大切なもの
ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」と呼ばれるフランク・ロイド・ライト。先の二名よりも日本と馴染み深いのがこのロイドかもしれない。帝国ホテルなどを例に見てみると、その佇まいは平等院鳳凰堂からインスパイアされたことも頷けるように、西洋のエレメントで東洋を表現した傑作といって良いほど評価を受けている。もう一方で有名な自由学園明日館は低層の回廊のようなプレーリースタイルを体現した建築で池袋という都会の乱雑さを見上げながらそのコントラストに対してそこにいるものに何か大きな気づきを与えてくれるはずだ。
この明日館は動態保存という手法を取り入れて使いながら重要文化財を保存していくという形式で実際にイベントや結婚式などで使用することができる。というのも私たちの挙式もこちらの明日館で行っており、コロナ渦のパンデミックの初期の合間に親族だけの挙式として執り行っていただいた。自然光が織りなす静謐な空間の中の挙式は従来のものと比べて参列者も限られていたこともあり寂しくうつるかもしれないが、私たちにとっては自分たちらしくそこに居ることができたことが何よりも嬉しいのだった。
ライトの建築はこうした自然を織りなすエレメントそして先の帝国ホテルのようにその土地が持っているポテンシャルやアイデンティティをとても上手く活かした建築が多い。昨今の均一化した都市計画や建築とは一線を画すそのスタイルは私たちに多くの気づきをもたらしてくれることだろう。
さて、本書『フランク・ロイド・ライトに学ぶ50の建築レッスン』はまさしくこうしたライトのスタイルを味わうのにとっておきの一冊となっている。竣工写真などだけでなく、設計図やスケッチなども多様されているので、視覚的にも理解が深まる他、ライトの珠玉の言葉も掲載されている。
圧倒的な存在感を放ち続ける人物像とその仕事も浮き彫りにした一冊。
ここには建築にとって大切なものが詰まっている。
<目次>
はじめに/影響と発想源/土地とランドスケープ/デザインと社会/空間と体験/コンポジションとムーブメント/建築と身体/抽象と宇宙/おわりに
アーロン・ベツキー
批評家、キュレーター、教育者。バージニア工科大学の建築 ・デザイン学科教授、元同学科長。
フランク・ロイド・ライト建築学校の学部長、タリアセンの建築学校学長を歴任。
建築に関する多くの著書がある。
ギディオン・フィンク・シャピロ
ニューヨークを拠点として建築・デザインに関する著作活動を行う。



