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渡り鳥たちが語る科学夜話―不在の月とブラックホール、魔物の心臓から最初の詩までの物語

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渡り鳥たちが語る科学夜話―不在の月とブラックホール、魔物の心臓から最初の詩までの物語 / 著者・全卓樹 / 朝日出版社



この世の不思議さ



夕飯を食べ終わると必ず息子を抱いてベランダで夕陽に向かってカーカーと言いながら飛んでいくカラスを2人で眺めるのが日課です。だいぶ高い上空を足早に(この場合は羽早?とでも言った方が良いのでしょうか)帰っていく姿をみると、先人たちがカラスが鳴いたら帰りましょう!と歌にした理由がなんとなく分かります。息子と今日は○羽飛んでいたね、と会話しながら部屋に戻るとふとなぜカラスは西の夕陽に向かって帰って(飛んで)いくのだろうかという疑問が心の中に残るのです。インターネットで検索すればそれらしい答えは導き出されるのでしょうが、今はあえてそれをせずにこのなんでだろうか、という感覚と息子との日課の思い出を胸の中にしまっておきたい気分なのです。


さて、本書『渡り鳥たちが語る科学夜話』は物理学者の全卓樹さんが天体、極微、街、生命という4つのカテゴリーについて科学的な知見をまとめた一冊になっています。世の中に起こる現象や状況などについて科学的研究の裏付けがある科学的事実の紹介だけでなく、大宇宙の神秘から、自然界の生命の神秘までが、語られています。


・月のおもて側にだけある海

・土星の環から霧雨が降る

・この世界はシミュレーションなのか?

・青年科学者の命を奪ったデーモンコア

・ヒマラヤを渡るツルが巻き起こした小さな奇跡


など、そもそもえっ?こんなトピックがあるのかという驚きからそれを科学的な見地から解き明かしていく流れはあなたの知的好奇心をくすぐることは間違いないでしょう。


さあ、未知の世界を愉しみ旅をしてみましょう。

前著『銀河の片隅で科学夜話』と合わせてお楽しみください。



<目次>

1 天体(アステカの陰陽神;フォンターナと金星の月 ほか)
2 極微(シミュレーション仮説と無限連鎖世界;デーモンコアと科学の原罪 ほか)
3 街(帝国興亡方程式;オマル・ハイヤームの墓 ほか)
4 生命(石に刻まれた銀杏;赤い砂漠の妖精の輪 ほか)


全卓樹
京都生まれの東京育ち、米国ワシントンが第三の故郷。東京大学理学部物理学科卒、東京大学理学系大学院物理学専攻博士課程修了、博士論文は原子核反応の微視的理論についての研究。専攻は量子力学、数理物理学、社会物理学。量子グラフ理論本舗/新奇量子ホロノミ理論本家。ジョージア大、メリランド大、法政大等を経て、高知工科大学理論物理学教授

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