銀河の片隅で科学夜話 / 著者・全卓樹 / 朝日出版社
まずこの本を目にした時に装丁にデザインされたイラストの美しさに目を惹かれました。ルネ・マグリッドのようなシュールレアリズムを感じさせるそのイラストは宇宙なのかそれがプラネタリウムなのか考えさせられます。
この本『銀河の片隅で科学夜話』は理論物理学者の全卓樹さんの22の科学についてのお話がまとめられています。お話と書いたのが内容が宇宙から虫などの生命の話までミクロとマクロを行ったり来たりするSFのような感覚だからです。
世の中には絶対ということはなく、見方や視点を変えることで表れ方や感じ方なども多様に広がっていくのだということを感じさせてくれます。
一晩ごとに一つのお話を読むことをお勧めします。
22夜のSFの世界へようこそ!
<目次>
はじめに
〔天空編〕
第1夜 海辺の永遠
第2夜 流星群の夜に
第3夜 世界の中心にすまう闇
第4夜 ファースト・ラグランジュ・ホテル
〔原子編〕
第5夜 真空の探求
第6夜 ベクレル博士のはるかな記憶
第7夜 シラード博士と死の連鎖分裂
第8夜 エヴェレット博士の無限分岐宇宙
〔数理社会編〕
第9夜 確率と錯誤
第10夜 ペイジランク─多数決と世評
第11夜 付和雷同の社会学
第12夜 三人よれば文殊の知恵
第13夜 多数決の秘められた力
〔倫理編〕
第14夜 思い出せない夢の倫理学
第15夜 言葉と世界の見え方
第16夜 トロッコ問題の射程
第17夜 ペルシャとトルコと奴隷貴族
〔生命編〕
第18夜 分子生物学者、遺伝的真実に遭遇す
第19夜 アリたちの晴朗な世界
第20夜 アリと自由
第21夜 銀河を渡る蝶
第22夜 渡り鳥を率いて
全卓樹
京都生まれの東京育ち、米国ワシントンが第三の故郷。
東京大学理学部物理学科卒、東京大学理学系大学院物理学専攻博士課程修了、博士論文は原子核反応の微視的理論についての研究。
専攻は量子力学、数理物理学、社会物理学。量子グラフ理論本舗/新奇量子ホロノミ理論本家。
ジョージア大、メリランド大、法政大等を経て、現在高知工科大学理論物理学教授。
著書に『エキゾティックな量子――不可思議だけど意外に近しい量子のお話』(東京大学出版会)などがある。