Take care of yourself

先日、首を長くして待っていた、家具が自宅に届いた。

長野県上田市に生活拠点を移してからすぐ注文したデンマークのデザインブランドForm & Refine(フォームアンドリファイン)の「リニアテーブルトップ」とその天板を支える脚「オースティア トレスル」だ。

到着するやいないや段ボールを開梱し、実際に組み立ててみると、引っ越し当初にイメージしていた通りに家具を配置することができ、最後のピースがハマったことで長らく切望していたホームオフィスがようやく完成した。それ以前は、小さな古道具の机でたくさんの書類を重ねながら仕事をしていたので、その時とは異なるワークスペースの景色に心が躍り、しばらくは仕事が手につかず、写真ばかり撮ってしまっていた。

自身が携わるクライアントの展示企画の中でも、こちらのForm & Refineのプロダクトは目にし、実際に触ってみたりしていたのだけれど、自分の日常生活の中にそのプロダクトが違和感なく置かれ、普段自分が使っているモノたちとの調和が取れたテーブルの上を見ると、自分の嗜好性が可視化され、日々のクオリティオブライフの向上を約束してくれているかのように感じるのだった。

 

自分の好きを発見できることは日常生活を豊かなものにしてくれるものだ。

近年、盛り上がりをみせ、大都市圏を中心にしっかりと文化と定着しつつあるスペシャルティコーヒーなども近しいことが言えるかもしれない。美味しいものを日々飲めばもちろんクオリティオブライフは向上していくのだが、もう少し深い意味合いとしては、自分の好きなスタイルや考えと近しい方たちが営んでいるコーヒーショップやロースターを見つけた時の方が、本質的な自身のクオリティオブライフが上がっていく気がしている。

個人的には、コーヒーの味やローストの違いなどは、バリスタの方たちやマニアックな人たちでないと正直分からないだろうと思うし、それよりもコーヒーを媒介として、立場などを気にせずにありのままの自分で屈託のない会話ができて、気軽に立ち寄れる場所こそがとても大事なんじゃないかと思っている。

じゃあ、キミはどこのコーヒー屋がいいんだい?ということになるかと思うけれど、そこで出てくるのがやっぱり自分が心地良いと思うことは何なのかというポイント。そのためにも、どういったところが自分と似ていて、こういうところが自分と違うなということを少し客観的に考えていく視点が欲しいところなのではないだろうか。


STANDARTは誰もがおいしいコーヒーを楽しめる世の中になってほしいという願いからスタートしたマガジンで、
行きつけのコーヒーショップでバリスタの方たちの会話の中から
新しい情報だったり考えるきっかを発見できるような、そんな体験を感じていただける内容になっています。

Form & Refineの多くのプロダクトは、特定の問題を解決することを出発点にものづくりを考えているそうで、自分たちの家や生活がそのプロダクトがあることによって、どのように改善され、忙しい一日の中でより使いやすくなるかを常に考えており、既に持っている日用品よりも美しく、魅力的なものにアップグレードすることを意識してデザインされているそうだ。

変化球のような突飛で斬新なデザインよりも、昔から馴染みのあるものが少し現代版にリファインされているというものづくりの姿勢が、自身の何かに取り組む姿勢や価値基準と近しく共感できる。さらにその姿勢が言葉だけではなく、木目の美しさや細かなディテールの繊細さなど実際に日常的に使えるプロダクトとして体現されているということがとても嬉しいことなのだ。

家具でも、コーヒーでも、チョコレートでも、ワインでも、ビールでもモノは何でも良いと思うのだけれど、そのプロダクトや物事が自分の美意識や価値観などを導き出すきっかけになるのは確かなことだろう。

ここは一つ、モノやコトを通して、「自分を労る」ということを改めて考えてみてはいかがだろうか。

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