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象の旅

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象の旅 / 著者・ジョゼ・サラマーゴ、訳・木下眞穂 / 書肆侃侃房


ポルトガルの作家・劇作家・ジャーナリストでノーベル文学賞受賞作家でもあるジョゼ・サラマーゴ。この一冊はサラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた作品です。

舞台は大航海時代真っ只中の1551年のポルトガル王国。ポルトガル国王は、神聖ローマ帝国の中心地として栄えるウィーンにいるオーストリア大公の婚儀への祝いとして象を送ることを決める。

もちろん当時の移動手段は徒歩のみで、この物語は、そんな象使いと象がポルトガルからオーストリアまでの移動の道中で出会う人々に驚き、そして人間味を描いています。

 

この物語をサラマーゴが思いついたエピソードがとても素敵です。たまたま彼がオーストリアで教鞭を取る知り合いから招きを受けて、一緒に入ったレストランの店内に置かれた木製の彫刻から着想を得たそう。その彫刻がポルトガルのリスボンのベレンの塔をはじめ、何かの旅程を示すかのようなヨーロッパの建造物や史跡を型どったものだったのです。

お気づきの方もいるかもしれませんが、それが象の旅程の骨格を表していたのです。

この木製の彫刻やそこから象の旅について調べ、史実をベースにそして情報の足りないところは、サラマーゴ節の愛と皮肉なユーモアを加え一つの物語としてまとめられています。


<書評コメント>

「ささやかで不条理な奇跡の連続、諦念と温かさに満ちた深い知慮が引き起こす小さな笑い」(アーシュラ・K・ル=グウィン)


「サラマーゴが、その人生の終わりに近くで書いた、愛嬌たっぷりの作品。『象の旅』は皮肉たっぷりで共感を豊かに誘う語りの中に、人間の本質についてのウィットに富んだ思索と、人間の尊厳を侮辱する権力者への揶揄を定期的に挟み込んでくる」(ロサンゼルス・タイムズ)


「サラマーゴは(……)この奇妙ながらも読み進めずにはいられない物語を紡いだ。サラマーゴがシュールで魅力的な散文の巨匠としてこれからも人々の記憶にのこるのはなぜか、この物語が完ぺきな例である」(GQ)



ジョゼ・サラマーゴ
1922年、ポルトガルの小村アジニャガに生まれる。様々な職業を経てジャーナリストとなり50代半ばで作家に転身。『修道院回想録』(82)、『リカルド・レイスの死の年』(84)、『白の闇』(95)で高い評価を得て、98年にノーベル文学賞を受賞。ほかに『あらゆる名前』(97)、『複製された男』(2002)など。2010年没。

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