なくなりそうな世界のことば / 著者・吉岡乾、イラスト 西 淑 / 創元社
世界をことばで覗いてみる
誰しもが親しい友人の間や家族の中で交わされる言葉の中に、その間柄でないと意味が伝わらない言葉というものが一つや二つあるはずです。それは暗号のようなものや擬音語を文字って言葉を作ってそういった独自の言葉を生み出してきているのです。そしてその言葉が通じる間柄は、一つのサークルとして束ねられコミュニティーとなり、マクロ的に考えてみるとそれが国や民族といったように括られていくことが想像できます。そう考えると言葉はそのコミュニティーのアイデンティティーであり、映し鏡だといっても良いくらいなのでしょう。
さて、世界で話されている言葉は、およそ7000もあるそうです。
けれど今現在、世界では、科学技術の発展に伴うグローバル化が原因となり、数少ない人が限られた地域で用いている「小さな」ことばが次々に消えていってしまっているという問題を抱えています。
本書『なくなりそうな世界のことば』は、世界の50の少数言語の中から、各言語の研究者たちが思い思いの視点で選んだ「そのことばらしい」単語に文と絵を添えて紹介した、世にも珍しい少数言語の単語帳です。
イヨマンテ、オオル、ルルン、アヤクチョ、オンデョカ、アマ・ア・アム・アマーなど何かの呪文なのかと思ってしまうような耳慣れないことばの数々から、「小さな」言葉を話す人々の暮らしに思いを馳せてみてください。イラストが想像を広げていく助けになるはずです。
世界をことばから覗いてみてください。
＜目次＞
ＲＵＲＵＱ ルルン―アヤクチョ・ケチュア語
ＭＡＫＵ マク―ネワール語
ＯＮＤＤＯＫＡ オンデョカ―バスク語
ＳＨＡＴＡ ＳＨＵ ＭＡＹＵ シャターシュッマユッ―ジンポー語
ＨＩＲＡＥＴＨ ヒライス―ウェールズ語
ＭＯＣ モチ―シナー語
ＯＹＢＯＮ オイボン―サハ語
ＭＡＮＧＰＨＡ マンパー―ティディム・チン語
ＳＥＲＧＥ セルゲ―ブリヤート語
ＢＵＬＡ ンブラ―フィジー語〔ほか〕
吉岡乾
千葉県船橋市生まれ。東京外国語大学大学院博士課程修了。博士（学術）。専門は言語学・フィールド言語学。２０１４年より、国立民族学博物館助教
西淑
福岡県生まれ。雑誌、広告、パッケージ、ＣＤジャケット、書籍の装丁などのイラストレーションを手がける。京都、鳥取を拠点に活動
