面影 book&craft

線(せん)と管(かん)をつながない 好文×全作の小屋づくり

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線(せん)と管(かん)をつながない 好文×全作の小屋づくり / 著者・中村好文、吉田全作 / PHP研究所

 

 

建築は“編み物”

 

 

 

建築や住まいなどは誰のものなのだろうか。
もちろんその建物を使用する人つまり施主の持ち物ということには最終的にはなるのだが、それは外野からの声であって、実際に自分自身が施主の立場に立ってみると、そんな我が物顔には到底なることはできないはずだろう。

 

お店作りも全くもって同じこと。面影 book&craftの実店舗も内装をリノベーションして作ったが、その時にご一緒し設計・デザインを担当してくれたTokyo pm. の山本さんとも初めの依頼のところから自分たちから概念的な部分のコンセプトをお伝えし、それを頼りに山本さんたちがデザインプランとしてまとめてくれたのだ。
設計していた時に山本さんがきめ細やかにこだわった部分(その当時はそんな強いこだわりは感じなかったが)が後々になってじんわりと効いてくるから面白い。あれ、こんなところにライティングレールがあった、なんてことも4年目にようやく気が付くということもザラにある。魅せながら収納できる部分なども実際にお店を動かすとそのデザインの意図を感じられることも多々ある。
そう考えると自分のお店のようでありながら、その一方で山本さんの作品、彼の頭の中を使わせてもらっているような不思議な感覚や気持ちになってくる。経糸に設計士やデザイナー、そして緯糸に私たち。経糸に仕掛けられた施しを緯糸である私たちがどう使いこなすかによって建築というものは編まれていくのだなと感じるのであった。

 

 

人気建築家・中村好文が吉田牧場の主・吉田全作の依頼に応え、力を合わせて作りあげたのは、線にも管にもつながらない、エネルギー自給自足が持続可能な小屋だった。

本書『線(せん)と管(かん)をつながない 好文×全作の小屋づくり』では、その全貌と詳細を一挙公開されている。

 

太陽光発電のシステム、雨水を濾過して飲料水にする仕組み、太陽熱温水器で雨水を温めて風呂に入る方法、ガスを使わずに調理する七厘レンジやキッチンストーヴ、食器を洗った排水を傾斜土槽とバイオ・ジオ・フィルターを通して、微生物によってキレイにしてからビオトープに流す仕組み、匂いもなく快適なコンポストトイレなどなど。

 

現代のテクノロジーを駆使してエネルギーを作り、循環させる小屋づくりを紹介します。これなら、住み続けられます。地震や豪雨などによる災害の多い日本に暮らす多くの人のヒントになる本書は、そうした建築テクニック的なことだけではなく、二人のコミュニケーションの文脈がしっかりと編み込まれていっている様子が見ることができるはずだ。

 

完成された中に流れる編み込まれた文脈。

ぜひそのコミュニケーションを読み感じて欲しい一冊。

 

 

 

<目次>

はじめに 中村好文 2

 

1章 小屋暮らしの妄想を現実に 吉田全作 9

この丘に小屋を建てて暮らそう 10/一冊の本に出会う 13

 

2章 パーマカルチャーデザイナーの四井真治さんを訪ねる 中村好文 15

暮らしの達人 16/狢のご対面 19

 

3章 全作、「全部作る」人 吉田全作 21

自分で「全部作る」という呪縛 22/汚水や雑排水を循環させるために 28

 

4章 小屋づくり、今度こそ ! 中村好文 33

心躍る知らせ 34/二人三脚の相方 35

 

観音開き・その1 配置計画と敷地活用プラン

 

5章 全作小屋の夢は続く 吉田全作 49

小屋の窓からマジックアワーを独り占め 50/小屋の配置とパノラマ風呂 52/葡萄と林檎に夢を託して 56

 

6章 小屋の台所事情 中村好文 59

鉢巻きを締め直す 60/台所の水・熱・氷? 61

 

観音開き・その2 線と管をつながないで小屋の暮らしを成りたたせるためのシステム図

 

7章 牛師、小屋でパンを焼く 吉田全作 73

チーズにはパン ! 74

 

8章 Rice Cycle に想いを馳せて 中村好文 79

シャワー袋の教え 80/「資源」を産み出す「循環」を目指そう 8

 

Dialogue /好文×全作

完成後3年半を経て小屋づくりの日々を振り返る 86

 

おわりに 吉田全作 114

 

 

 

中村好文
建築家。1948年千葉県生まれ。72年武蔵野美術大学建築学科卒業。設計事務所勤務を経て、東京都立品川職業訓練校木工科で家具製作を学ぶ。81年レミングハウス設立。87年「三谷さんの家」で第1回吉岡賞受賞。93年「諸職の技術を生かした住宅」で第18回吉田五十八賞特別賞受賞。2014年~多摩美術大学環境デザイン学科客員教授。 主な著書に『住宅巡礼』『住宅読本』 (以上、新潮社)、『普通の住宅、普通の別荘』 (TOTO出版)、『百戦錬磨の台所vol.1,vol.2』(学芸出版社)、『食う寝る遊ぶ 小屋暮らし』(PHPエディターズ・グループ)がある。

 

吉田全作
牛師、フェルミエ(チーズ農家)1955年岡山県生まれ。79年北海道大学農学部畜産学科卒業後、5年間のサラリーマン生活を経て、84年に岡山県・吉備高原にて酪農業を開業。88年、念願のチーズ作りを始める。94年、ホルスタイン種からブラウンスイス種に変更。以来、土地に根ざし牛を放牧し、餌や牧草にこだわり、おいしい乳を搾り、家族のみで手作りチーズを生産し続ける。その誠実で妥協のない味わいで全国にファンが多い。主な著書に『吉田牧場 牛と大地とチーズとの25年』『チーズのちから』(以上、ワニブックス)がある。

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