WINDOWS / Patrick Pound / Perimeter Editions
これぞ、ファウンド・フォト
写真を用いた表現のひとつ、『ファウンド・フォト』。
主に表現者本人ではなく、他者が撮影した写真や画像を素材とする点に特徴があります。特定のテーマに基づき、本来の文脈から切り離されたイメージのかけらが寄せ集められる。集合体となったそれは新たに意味を帯び、ひとつの表現となる。作者の着眼点や発想力、そして編集的な力量が試されます。
ニュージーランド出身のオーストラリア人アーティストであるパトリック・パウンドは、30年以上にわたって7万点に及ぶ他者の写真を収集し、彼特有のカテゴリーに仕分けてきました。
本作の主題は「窓」。
ページをめくるごとに、読者は他者の写真や窓を外からのぞいていくことになります。
幽霊のような風貌。
しあわせな家族たちの姿。
演技に打ち込む役者。
人々のふざけたようす。
すべてが唯一無二の光景です。
このひとつの制約を通して、写真とは鏡にみせかけた窓であることを思い出させる一方で、進化する素材の質や実用的かつ表現力豊かな用途といった、写真のささやかな歴史をも表す。
ノスタルジックあるいは感傷的というのを超え、現代のわたしたちに直接語りかけるのです。
text by Takiko Nishiki