科で見分けて楽しむ 雑草観察図鑑 / 著者・瀬尾一樹 / 山と渓谷社
カバンに一冊しのばせて
道端に生えている草花も園芸用の植物もハーブも、身近な植物を眺めるのが好きで少しずつ植物の名前を蓄積していっている。
先日、自宅の庭で育てているローズマリーの花が初めて咲いて、その形をじーっと眺めていると「この形はカキドオシやツタバウンランに似ているなぁ」とふと別の植物の名前が頭をよぎった。
普段日課のように植物を眺めていて、自然と頭の中で似た形のものをグループ分けして認識している自分がいたことに少し驚いたのだけれど、こうやって比較できるくらいに頭の中に植物の引き出しができてきたこともまた嬉しい事実。
本書は植物を「科」ごとに分けて特徴を知りながら、植物観察が楽しめるガイドブック。
ふと思い出して本書で調べてみたら、ローズマリーはシソ科、カキドオシもシソ科で仲間分け正解。しかしツタバウンランはオオバコ科ではずれだった。
たとえば自分の好きな植物は意外と同じ科だったり、逆にまったく見慣れない(つまり関心を寄せていない)科があったりと本書を通じて好みを知ることができたのも面白いし、似たもの同士でまとまっていると他の図鑑よりも早く覚えられる点もありがたい。
38科、316種とたっぷり掲載されているので大体の出会った植物は本書で判別できる。
読みかけの文庫本と同じ感覚で、カバンに本書をしのばせてみてはどうだろうか。
この花なんて名前だろう、と気になる時にさっと調べられたらきっと頭の中の植物レパートリーが増えること間違いなし。
子供と一緒に見るのもいいですね。
植物好きなあなたに、おすすめしたい一冊です。
<目次>
<はじめに>
科の特徴がわかるとなぜ嬉しいのか/植物の分類について/まずはどこを見ればいい?/植物には例外や変異がある
図鑑の使い方/環境について/用語解説/おすすめのウェブサイト・書籍/ざっくり!科の特徴リスト
<図鑑>
セリ科/ウコギ科/キク科/キキョウ科/シソ科/クマツヅラ科/オオバコ科/ナス科/ヒルガオ科/ムラサキ科/アカネ科/ナデシコ科/ヒユ科/タデ科/アブラナ科/アオイ科/アカバナ科/フウロソウ科/トウダイグサ科/コミカンソウ科/スミレ科/カタバミ科/ウリ科/バラ科/イラクサ科/マメ科/ブドウ科/ベンケイソウ科/キンポウゲ科/ケシ科/イネ科/カヤツリグサ科/イグサ科/ツユクサ科/ヒガンバナ科/アヤメ科/ラン科/ヤマノイモ科/身近なシダ入門/同じ科の仲間は少ないが街中でよく見かける植物
<コラム>
シソ科に少し似ている植物/いつも食べている食材は何科?/ヒガンバナ科に少し似ている植物/植物の名前、どうやって覚える?/たくさん観察すると「目」ができる?/他のフィールドでも「仲間探し」をしてみよう
瀬尾一樹
1994年、埼玉県生まれ。名前はペンネーム。樹木医・インタープリターとして、都内近辺とウェブを舞台に身近な自然の魅力を発信している。街中に生える路傍雑草とよばれる植物や、木が生きていくための仕組みに興奮する。著書に『樹木医がおしえる 木のすごい仕組み』(ベレ出版)、『やけに植物に詳しい僕の街のスキマ植物図鑑』(大和書房)がある。