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暮らしを旅する

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暮らしを旅する / 著者・中村好文 / KKベストセラーズ


『本格建築家』であり『本書く建築家』の中村好文さん。

中村さんの設計する建築は、どれも家具が段々と大きくなっているようでどこか包み込まれている温かみを感じます。

本書はそんな中村さんが日々の暮らしを津々浦々訪ねて歩いた42通の旅だより(=ショートエッセイ)がまとめられています。

そのエッセイの中で僕が一番好きなのが、『オフィス・ランチの愉しみ』の部分です。中村さんの建築事務所では毎ランチを役割分担のクジを引いて決めスタッフ総出で作って食べます。美味しいものを、愉しく食べよう!というこのオフィス・ランチのコンセプトがショートエッセイの冒頭にある一枚の何気ない写真や文章の行間からも伝わってきます。


以前別の本の紹介文の中でも触れましたが、「楽しむ」は『受動』の楽しさ、「愉しむ」は『能動』の楽しさという意味があるそうです。この一冊を読んでみると中村さんの眼差しは日々を「愉しさ」という視点で捉えているのだということがわかります。
ちなみに、中村さんが設計する建築では特に台所をこだわって作るそうです。

こういう日々の視点や姿勢が制作する建築物の温かみにも繋がっているんだなと感じる一冊でした。


さあ、暮らしを旅しましょう!


目次
生活の舟を軽やかに
ロストバゲージの教訓
旅ねずみ、右往左往の三十年
台所の憂愁を払拭する道具
ジョンの部屋の本棚の高さ
天変地異に備える住宅
領収書の裏に雲雀のさえずり
石垣島行きのバス
夏の音、夏の味
シャーレの中の蝉しぐれ

ほか計42編



中村好文
1948年千葉県生まれ。武蔵野美術大学建築学科卒業。レミングハウス設立。主な作品に、三谷さんの家、伊丹十三記念館など。著書に「住宅巡礼」「住宅読本」「意中の建築」など。

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