時を経て、趣のある家 / 著者・技拓株式會社 / 主婦の友社
家は育てるもの
信州に移住をしてから自分たちの周りに家を持っている方が環境として多くなり、そうすると自ずとお邪魔する機会も増えてきました。賃貸マンションやアパートのように全てが規格化された間取りや建具などではなく、その家主の趣味や美意識のようなものが見え隠れするのがとても面白いという印象です。
そして経年変化した木材のフローリングなどをみていると、ありきたりの感想なのですが、どこかのハウスメーカーがやっている、物などが置かれていないオープンハウスなどよりも、より具体的な生活感がそこには漂っているのです。時を重ねて熟成された空気がそこに確かに存在していて、それが家全体の雰囲気を構成しているのだと強く思うのでした。
さて、本書『時を経て、趣のある家』は1974年設立、神奈川県鎌倉市・鎌倉山に本社のある注文住宅の設計・施工会社「技拓」が、「時を経て、さらに趣のでる家」をコンセプトに、湘南エリアを中心に、関東甲信・東海などで800棟を超える一般住宅を手がけてきた、実例を春、夏、秋、冬と四季の移ろいのなかで毎月1軒ずつ撮影・取材した12軒の住まいと暮らしを紹介しています。
新築から築47年まで、ひとり暮らしから3世代の二世帯住宅まで、さまざまな家族の家づくりには、間取りやインテリアのコツだけでなく、幸せを見つめて豊かな暮らしを育むヒントが詰まっています。掲載されている家主の方たちは最新の住宅ではありません。中にはもう直ぐで建ててから50年目を迎えるような住宅もありますが、その月日を感じさせるような古臭さは微塵も感じられません。むしろ住み心地が良さそうだなという印象を抱きます。
木という素材のすばらしさを信じて「長く愉しめる」一般住宅建築にこだわり、1棟1棟コツコツと無骨にいいものをつくり続けてきた「技拓」。
住む、暮らす、生きるあり方を考える家づくり&暮らしづくり本の決定版の一冊です。
＜目次＞
三浦邸：ささやかな発見に心躍らせて
中村邸：中庭を囲み、寄り添うように
森島邸：暮らしを育み、住まいを育てる
山田邸：茅ヶ崎の海と街に魅せられて
武田邸：まわりの自然にとけ込むように住む
濱野邸：家は過去から巡り、未来につながる物語り
今野邸：子育てを自然豊かな湘南の地で
鍋屋邸：自然のなかで、住み継いで暮らす
青木邸：３世代で住む、風通しのいい家
平林邸：緑に囲まれた、三角屋根の家
古賀邸：季節の移ろいを感じてのびやかに
白鳥邸：自分を癒やしてくれる、のどかな平屋で
住宅会社「技拓」について
