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「土」の本

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「土」の本 / 著者・金澤晋二郎 / Pヴァイン



生命としての土




信州のクライアントや職人さん、ブランドと編集の仕事をさせていただくようになってからというものの、テーマとして必ずといっていいほど挙げってくるのが『土』だ。webのディレクション・デザイン・制作を行っている橋本左研さんでは、この『土』を建物の壁としている左官について実地をベースに取材しているし、ハイランドレメディーズと制作している『HASHU』というマガジンは、植物やハーブを相手にしていることもあるので自ずと『土』が大切になってくる。

そして自らが自らのために移住してから行っている自然農の畑では、否応なしに常に『土』の状態のことを考えている。どのように『土』と向き合うかによって、野菜やハーブの生長に関わってくるからだ。


一昨年にアパートの前の耕作放棄地をオーナーとたまたま出会うことができ、お借りすることができた。元田んぼだった場所ということもあり、そのオーナーからも「土の湿り気が強いからなかなか作物はできにくいよ」と釘をさされていた。けれど、借りた当時も自然農を先祖の畑で行っていたし、そこそこ作物ができていたので、同じようにできると単純に思っていた。
けれどそんな事はうまく運ぶはずもない。畝の溝を作るために掘り起こしてみると、空気の隙間の無い高密度の塊と化した土の中には虫たちは愚か、大抵の土の中にいるはずの、みみずすら呼吸困難状態かのような身動きが取れない状態。どこでも育ちそうなジャガイモも、土の中の水分量や空気が少なく、収量も期待していたほどではなかった。けれど自然農の大原則のそこに生えてきた草を刈り、畝に敷くとういうことを繰り返していると、まさに窒息寸前だった土は今やふかふかの土に変わっていき、みみずも元気に大きくなり、「なんでも来い!」なんて声が聞こえてきそうな状態に変化したのだ。

残念ながら今はその借りていた元田んぼの敷地は今後の宅地化に向けた転用のため、使用できなくなってしまったというオチにはなってしまうのだが、この3年間の中で全く作物が育たなかった場所を再生できたという経験は自分の中で確かな生命としての自信へと繋がっていった。

土は生きているのだ。そして何度でも蘇ることができるのだ。


さて、そんな不思議で地球の財産とも言える土について本書『「土」の本』では日本の土研究の第一人者で土壌微生物/農学博士の金澤晋二郎さんが土のいろはを写真、イラスト、図表を交えて実践的でわかりやすく解説してくれている。


●「土」の問題がなぜここまで重要か

●良い「土」と悪い「土」とは何か

●「土」が生活にもたらす影響

●「土」と健康の重要な関係

●日本ではどこの「土」が良いのか

●どうすれば「土」をよくできるか

●江戸時代、どれほどの苦労があって東京で野菜を栽培できる土壌にしたか

●宇宙農業とは何か


「研究のために土を掘って、研究室に持ち帰って調べてみると、土壌一筋60年の私でさえ毎回驚く発見があります。土は私たちの知らない無限の可能性を秘めた未知の世界です。この土と微生物に魅せられた1人として、生命を支える18センチの土を絶やすことなく、豊かに育んでいくことが私の使命のひとつです」(金澤晋二郎)



明日から、土の見方が変わってくる一冊。




<目次>

献辞

はじめに

イントロダクション


第一章 「土」の誕生と微生物

第二章 世界の「土」と、日本の「土」

Column 「温故知新」が導く御神木 “海岸黒松” の再生技術

第三章 「森」は生命の源

Column 竹には大きな未来がある

第四章 「土」の薬膳

Column 土ピープル

微生物視点から見る、土と体のつながり/土から育つバラへの思い/植物愛による、生誕土壌再生への挑戦

第五章 土壌研究と緑茶栽培

Column アートで表現する土

第六章 「土」に還すコンポストの可能性

Column 地産地消コンポストシステム

第七章 物質循環、分解のその先へ

第八章 宇宙農業の可能性


おわりに

謝辞



金澤晋二郎

株式会社金澤バイオ所長。土壌微生物学農学博士、中国河南省科学院名誉教授、九州バイオリサーチ研究会会長。1942年北海道小樽市生まれ。東京大学大学院農学系研究科修了。鹿児島大学農学部助教授、九州大学大学院農学研究院教授を経て、2016年に金澤バイオ研究所を設立。日本土壌肥料学会学会賞(1986年)、第13 国際土壌科学会議(西ドイツ)土壌生物部門最優秀賞(1986年)、愛・地球賞―Global 100 Eco-Tech Awards1986年)、第13 微量元素の生物地球化学会議『福岡観光コンベンションビューロー国際会議開催貢献賞』(2017年)など受賞歴多数。

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