薬草のちから: 野山に眠る、自然の癒し / 著者・新田理恵 / 晶文社
自然で取り戻す生の感覚
本書『薬草のちから:野山に眠る、自然の癒し』の著者である新田理恵さんは伝統茶ブランドの『tabel』の代表で、数年前にトークイベントのゲストにお招きしてお話ししてもらったことがあります。その時のテーマが起業とかの話がメインだったこともあり、薬草の部分のパートは全体の中の一部といった感じでした。そして最後お見送りをする時に「岩井さんは、大和当帰茶を飲んだ方がいいよ。」とティーバッグをお土産としていただいたことを覚えています。帰宅後にそれをお湯で出して飲んでみると、ちょうど冬の寒さで手足の冷えがきつかった時期でしたが、みるみるうちに体の芯から温かくなっていった衝撃を今でも思い出します。それまでは靴下を厚いモノを履くだったりと外側だけに気を取られていましたが、中から変えていくという考え方を初めて体感した経験だったかもしれません。
本書の内容は薬草とはなんなのかというところから、どのように薬草と付き合っていくかということまで丁寧にわかりやすくまとめられています。特に印象的だったのが薬草、特に在来のものはその土地の代弁者であるというところ。その土地土地の気候や風土が見える植物というカタチを纏って現れているという視点がとても興味深いところでした。薬草に限ったことではなく、必要なものは自然と自分の身の回りに集まってくるのかもしれない、そんな気持ちにさせてくれます。
地と生を繋ぐ薬草を自然と取り入れるきっかけをくれる一冊です。
<目次>
第1章 からだが薬草を求めている
第2章 薬草について知っておきたいこと
第3章 薬草茶でからだを慈しむ
第4章 薬草とは何か
第5章 薬草を仕事にする
第6章 薬草のすすめ
新田理恵
食卓研究家/TABEL株式会社代表取締役。管理栄養士であり国際薬膳調理師。さまざまな地域にて商品開発やワークショップを行っている。2014年に伝統茶ブランド“tabel”を立ち上げる。2016年8月にTABEL株式会社へと法人化し、2018年初春、薬草大学NORMを始動