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伊丹十三の台所

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伊丹十三の台所 / 著者・伊丹十三、編集・つるとはな編集部 / つるとはな



“本物”の美味しさ



最近、“本物”を知っている人と出会うことが少なくなってきたように思います。20代の頃は色々な大人たちに色々な場所に連れて行ってもらい様々な“本物”を垣間見てきた気がします。ある時には自分では絶対に行かないであろう老舗のバー。またある時は準備中と店のドアに掲げてあるのにその人と一緒だと入れてしまう鰻屋など。そんな場所であるから出されたものの味なんて緊張のあまり覚えていないのですが、その時の空気感や物の佇まいや会話などは深く自分の人生の中に刻まれているものなのでしょう。


物事には本流と支流があるように思います。支流に分かれていくにつれどこか分かりやすく馴染みやすく、そして万人受けするような体裁に変わっていくのが常です。けれどいつ何時であってもそもそもの本流はなんなのかということを頭の中で考えていく必要があるのではないのだろうか、とそんな気持ちにさせてくれる一冊が、本書『伊丹十三の台所』です。


本書『伊丹十三の台所』は、映画監督、俳優、エッセイスト、なによりひとりの生活者でもある伊丹十三の料理やその周辺にまつわるエトセトラがエッセイとして語られています。若い頃から好みの器を揃え、吟味した道具を使い、家族はもちろん、来客にも料理の腕をふるっていた伊丹十三の食にまつわるエッセイを様々な分野で活躍し伊丹十三の影響を受けた方たちと、その内容を紐解きながら、いかに伊丹十三が食べること、作ることを楽しんだかが一冊に凝縮されていて、彼の料理に寄せる“本物”を追求していく心構えが伝わってくる内容です。伊丹十三に影響を受けたさまざまな方々のお話や本人が実際に使っていた道具の写真なども必見です。


<目次>

スパゲッティのおいしい召し上り方――細川亜衣

伊丹さんと台所――中村好文

池内家、父の料理――池内万平

ぼくらの好きな伊丹さん――宮脇誠・吉田昌太郎

伊丹十三の料理本――高橋みどり

風邪のときにつくってくれた

親子丼がほんとうにおいしかった――宮本信子



伊丹十三

1933(昭和8)年5月15日、映画監督・伊丹万作の長男として京都に生まれる。映画「優、デザイナー、イラストレーター、エッセイスト、映画監督。

「ヨーロッパ退屈日記』、『女たちよ!』(ともに新潮文庫)、単行本未収録エッセイ集「ぼくの伯父さん」(つるとはな)など著書多数。TV番組、TVCMの名作にも数多く関わり、精神分析がテーマの雑誌「モノンクル」の編集長も務めた。映画「お葬式』発表以降は映画監督を本業とし、数々のヒット作を送り出した。1997(平成9)年1220日没。

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