内なる町から来た話 / 著者・ショーン・タン、翻訳・岸本佐知子 / 河出書房新社
人間へのメッセージ
オーストラリアのイラストレーターで絵本作家、そして動物系のSFものを描いているショーン・タンが動物をモチーフに描くイラスト付きの短編です。上の階に住むワニ、空を覆い尽くす蝶の群れなど一度は町中であるいは動物園や図鑑などで目にしたことのある動物たちをめぐる現実ではあり得ない不思議で懐かしい25の物語が収録されています。
どこかありそうでない話なのですが、一つ一つの物語が私たち人間へのある種の警笛のように感じてしまうのではないのでしょうか。動物たちは私たち人間が生まれる前からそこにいて、後から来たのは人間自身なのだということを改めて気付かされることでしょう。
『遠い町から来た話』の姉妹編。
動物たちからの人間へのメッセージをしかと受け止めてみてください。
ショーン・タン
1974年オーストラリア生まれ。絵本作家。本書のほか、『遠い町から来た話』『セミ』『内なる町から来た話』など。リンドグレーン賞、グリーナウェイ賞など受賞多数。『ロスト・シング』でアカデミー短編賞受賞。
岸本 佐知子
1960年生まれ。翻訳家。訳書に、ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジュライ『最初のは悪い男』、ベルリン『すべての月、すべての年』、ソーンダーズ『十二月の十日』、タン『内なる町からきた話』など。