星々と木々―ゲーテ・シュタイナー科学への道 / 著者・丹羽敏雄 / 涼風書林
宇宙との繋がり
『Powers of Ten』というドキュメンタリー映画をご存知でしょうか。
世界的に著名な家具デザイナーとして知られるイームズによって制作されたドキュメンタリー映画なのですが、こちらの映画の冒頭のシーンがとても印象的です。
ピクニックをする男女を上空から撮影している映像なのですが、そのカメラがどんどん宇宙に向かってズームアウトしていく、そしてズームアウトし切った宇宙空間からその反対にピクニックシートに寝転がっている男性の手の細胞目掛け今度はズームインしていくそんな映像が9分間続きます。これを観ると、私たちが生きるこの地球上は宇宙からみれば宇宙空間にむき出しの状態なんだということと、自分たちの細胞は宇宙なのだなということをいつも感じます。地球の周りにオゾン層というものがあるといわれているので、ダイレクトに太陽から発さられた光線が来ているわけではありませんが、その一部が地球上の私たちに届けば熱を感じますし、それが強ければ日焼けもします。
他の天体はどうなのでしょうか。私たちがまだ解明していないだけで、さまざまな天体からのエネルギーが地球上に降り注ぎ作用しているということは、わかりやすい太陽を例にとってもわかるように何かしらあるのではないのでしょうか。
さて、本書『星々と木々―ゲーテ・シュタイナー科学への道』はそんな宇宙の天体と私たちの身近にある木々がどのような関係性があるのかということをシュタイナー教育のベースとなっている考え方であるアントロポゾフィー的な視点から編集しまとめられた一冊になっています。その視点は、バイオグラフィーワークやアントロポゾフィー医療、バイオダイナミック農法などシュタイナー関係の様々な活動に生かされています。
金星と白樺、火星とオーク、、といったように私たちに馴染み深い太陽系の星と木々を紐づけてまとめているのでとてもわかりやすく、入り込みやすい内容となっています。
宇宙との繋がりを意識することで、日常の自然の見方が変わってくるそんな一冊です。
<目次>
金星と白樺
火星とオーク
水星と楡
木星と楓
月と桜
土星とブナ
太陽とトネリコ