信州おばあちゃんのおいしいお茶うけ: 漬け物から干し菓子まで、信州全土の保存食110品
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信州おばあちゃんのおいしいお茶うけ: 漬け物から干し菓子まで、信州全土の保存食110品 / 著者・大平 一枝 / 誠文堂新光社
幼少期の頃、毎年夏に信州・上田にある祖父母の家に1ヶ月間くらいの里帰りをすると、家族みんな高地特有の陽射しで肌がこんがりと日焼けし、体重も東京にいた時より不思議と増加傾向でした。なぜかというと、その頃もう教師の仕事を退職し、家庭菜園のような農業に勤しんでいた祖父母と同じ生活をしていたからです。
朝早く起き、10時にお茶の時間、そして正午にはお昼ごはん、3時のおやつに、6時の夕食。そんな毎日です。農家の方たちには馴染みの生活リズムかと思いますが、都会の生活に慣れていると、あれさっき食事をしたばっかりじゃないか、なぜこんなに食べなくちゃいけないのかと思っていました。
けれど農家の方たちにはそれが理にかなっています。農作業で疲れた体に染みる塩っ気とお茶による水分補給。最初は必要だからそうしていたのかもしれませんが、次第にそこに集まる人たちの会話や少しの息抜きの時間のほうが大切になってきたのだということがこの一冊から伺えます。
前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、それが今ではおばあちゃんたちのお茶うけとして地域ごとに残されてきています。それも東西南北と広がりそれぞれ文化圏の異なる信州なので、同じ食材を使っていても味付けのレパートリーはエリアの家庭ごとに異なります。
ネット社会の今と違い、昔はこうした直接顔を見合わせて同じものを食べる時間の中で情報が交換されていき互いのこころを支え合っていたのだと実感します。
タイトルには漬け物から干し菓子までと謳われていますが、ページを開けばなぜ私たちが帰省のたびに体重が増加していたのかわかるかと思います。
「おかずじゃん!」
そうツッコミを入れながら読んでいただきたい一冊です。
<目次>
信州のおばあちゃんのお茶うけ
お茶うけのしつらい
受け継がれるお茶うけ
大平 一枝
ルポライター。長野県生まれ。女性誌、インテリア誌、新聞を中心に、ライフスタイルやインテリア、人物ルポなどの執筆を手がける。主な著書に『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『かみさま』(ポプラ社)、『もう、ビニール傘は買わない。』(平凡社)、『昭和ことば辞典』(ポプラ社)など多数。