SAUL LEITER by François Halard [SECOND EDITION]
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つくり手の居所を拝見するとき、秘された世界をのぞき込むような高揚感を覚えるのはわたしだけでしょうか。
今回はフランス出身の写真家、フランソワ・アラールに、アメリカ出身の画家/写真家であるソール・ライターが遺した居住空間へといざなってもらいましょう。
ライターが逝去した2年後、アラールは故人が55年にわたり過ごしたアパートを訪れる機会を得ます。
当人とも深い繋がりのある、ニューヨークのダウンタウンイースト・ヴィレッジに位置するこの部屋は、ほぼがらんどうになって遺されていました。ときに抽象的でありながらいつだってソウルフルな彼の写真群は、モノクロとカラーによるストリートシーンの記録と言えましょう。
ページをめくるうちに、どこかにかってのあるじの姿があらわれないだろうかと思わずにはいられません。それも、ファインダーを通してライターの精神性を掴もうするアラールの眼差しがあってこそ。
実は、普段のアラールの写真群は身体や人物の気配を徹底的に排除することに特徴を見出せるのですが、本作に限っては随所に写り込んでいるのが認められます。
もっとも、いずれもライターの遺した写真に登場する写体なのですが、それらはインテリアの一部のようにすっかり溶け込んでいます。この点からも、アラールのライターへの敬意がにじみ出ています。
text by Takiko Nishiki