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センス・オブ・ワンダー(新訳)

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センス・オブ・ワンダー / 著者・レイチェル・カーソン、 森田真生 / 筑摩書房



意識という目線



エジプトにあるギザのピラミッドにある石棺までの道のりは人類の意識の変化の道のりと言われている。入り口付近は頭を下に下げていないと通れないくらい狭く、自分の視界は足元しか見えていない。これは太古の時代に人間は奴隷のように働かされそれが当たり前だと思っていたことを揶揄しているそうだ。次第にその道というか穴が広がっていき色々な方向に目を配らせることが可能となっていき最後の石棺のある部屋は広々と一面を見ることができるようになるそうだ。

これはあくまで比喩的なものだけれど、この話を聞いた時はたして今自分が見ているもの見えているものが全てなのだろうかと思ってしまった。実は自分が見渡せていると思っている状況は先のピラミッドに例えるとまだ入り口付近の状態なのかもしれないとすら思えるのである。



世界的なベストセラーの本に『センス・オブ・ワンダー』がある。私たちを取り巻くこの世の中は驚くべき感覚世界に包まれていることが語られている本なのだが、本書はその新訳として独立研究者として活躍している森田真生さんに白羽の矢が立ち手がけた一冊になる。そしてただの翻訳本ではないのがこの一冊が魅力的なところ。翻訳の後には「その続き」として森田さんが描く「僕たちの『センス・オブ・ワンダー』」と題して自身の生活の中で子どもと接する中で感じた意識の変化についてのエッセイが、レイチェル・カーソンが論じた内容と呼応する形で構成されているのだ。カーソンが残した問いかけに応答しつつ、70年後の今を生きる森田の問題意識に基づいた、新しい読み解き、新しい人間像の模索を行う。


『人間は環境の変化によって姿形を変容することはできないが、意識は自由自在に変化させることができる』


そんな希望に満ちる思いがこころの中に浮かび上がることだろう。


まだ私たちには見えていない世界があるはず。

意識という目線に目を向けてみてはいかがだろうか。




<目次>
センス・オブ・ワンダー
僕たちの「センス・オブ・ワンダー」
結 僕たちの「センス・オブ・ワンダー」へ




レイチェル・カーソン
907-64。アメリカの生物学者。研究の傍ら、大ベストセラー作家に。1962年公害問題を『沈黙の春』で厳しく告発、環境問題の嚆矢となる。『センス・オブ・ワンダー』は1956年に雑誌発表、未完のままに死後単行本化された。ほか著書に『潮風の下で』『われらをめぐる海』『海辺』などがある。


森田真生
1985
年生まれ。独立研究者。京都を拠点に研究・執筆の傍ら、ライブ活動を行っている。著書に『数学する身体』で小林秀雄賞受賞、『計算する生命』で第10 河合隼雄学芸賞 受賞、ほかに『偶然の散歩』『僕たちはどう生きるのか』『数学の贈り物』『アリになった数学者』『数学する人生』などがある。

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