世界でいちばん孤独な夜に 寺山修司のことば集 / 著者・寺山修司 / 大和書房
染み入る言葉
眠れない夜は誰しも経験があるはずです。仕事のこと、人間関係のことで頭がいっぱいいっぱい。そして現実にありもしないことをあーだのこーだのと考えているうちに頭がぐるぐると回り始めてしまい、どんどんと目が冴えてきます。
自分が今までどうやって眠っていたのかということも忘れてしまったかのような、突如とした不安や孤独感を感じてしまうものです。
そんな時に詩集を開いてみると良いかもしれません。文章の意味などをあまり深読みせずに、ありのままの字面と音の響きを感じ取ってみるすると、なんだか遠くの方から眠気がやってくることでしょう。
そんな時のお供にしたいのが、本書『世界でいちばん孤独な夜に 寺山修司のことば集』です。著者の寺山修司の没後40年を経て、現代に甦る寺山修司の名言集が一冊にまとまっています。寺山修司の真骨頂といえる、ロマンチックで物語性があり、現代においても私たちの揺れる心に寄り添う言葉たちです。
孤独、わたし、涙、恋愛、手紙、時間、旅、月、さようなら、希望といったジャンルに分けられているので、はじめから読み進めてもよし、気になるトピックのところから目を通してみても楽しめます。
きっとお気に入りの言葉が見つかってそれがあなたのこころの中に染み入ってくることでしょう。
<目次>
1 ひとりぼっちの夜―孤独、少女、わたし、涙、人形、鏡
2 夢みる肉体―身体、恋、愛、夢、美、猫、花
3 海は終わらない―海、星、月、荒野、水平線・地平線、飛
4 水に書く詩人―質問、ことば、詩、書物、手紙、数
5 かなしい時計番―時、季節、思い出、故郷
6 あしたまた旅立つ―旅、死、喪失、悲、嫌、惨、悪
7 さよならをください―幸福、希望、約束、さよなら
寺山修司
青森県弘前市生まれ(1935~1983)。日本の詩人・歌人・劇作家。演劇実験室「天井桟敷」主宰。青森高校在学中より俳句、詩に才能を発揮。早稲田大学教育学部に入学(後に中退)した1954(昭和29)年、「チェホフ祭」50首で短歌研究新人賞特選を受賞。歌人、脚本家、演出家、映画監督、写真家、エッセイストなど、活動分野は多岐にわたり、世界中で評価された。肝硬変と腹膜炎のため敗血症を併発し、47歳で死去。著書の多くは、現在も変わらずに多くの読者に読み継がれている