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泥だんご

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泥だんご / 著者・松嶋圭 / 梓書院



創る人の頭の中



2010年代後半。どういうわけか会社員だった僕はこの世の中の真実が知りたいと漠然と思い、北欧を中心にクリエイターたちにインタビューしたマガジンa quiet dayを作りはじめました。

真実が北欧にあるとは当然思っていませんが、自分の好きなデザインがある場所の人たちはどんなことを考えながらモノを生み出しているのかということを知りたいと思ったことがきっかけだったと思います。

取材は5年ほど継続して行なっていましたが年数を重ねているうちに何かを生み出す際のエネルギーや情熱、アイデアを形にする際の繊細さや破壊的な衝動など、そこには国境線などはなく共通している“言葉”が存在しているということに気がつきはじめたのです。

これが最初の動機にもなっている世の中の真実かどうかはわかりませんが、きっと人間として生きていく上で大事になってくる生み出すことに繋がっていると思いますので、それに近いことなのだろうと感じています。

その“言葉”が具体的に何かということを説明するのことは容易ではありません。けれどそうしたモノを生み出しているクリエイターたちが使う“言葉”の中にヒントがあることは確かなのだろうと思っています。

今は色々なクリエイターの方々にお話を一気に聞くという機会は減ってしまい、特定のものづくりをされている方とじっくりと話をし、真実を探している段階だったりします。


本書『泥だんご』は、精神科医の松嶋圭さんが、陶芸家、画家、ワイン生産者、竹細工作家など様々なものづくりをしている方たちを相手に、土をめぐる対話がまとめられた長編小説です。

ここに掲載されているクリエイターの“言葉”は、一見よくわからないこともあるかもしれません。けれどゆっくりとその字面を辿ってみると、その一つ一つが先に挙げた真実に近いものなのだろうと感じます。


ものづくりをされている方も、そうではない方も手に取っていただきたい一冊です。


<目次>

第一章

トランポリン/立方体/梅干/いわくら/落ちた卵/接ぎ木/十字/南蛮/地学/小林さんのオルツヨイク/木片


第二章

土星装置/擬態/砥石/ラクダ/マウス/ゴッサムシティ/トンボ/鉱石ラジオ/ベニヤ板/書庫/脱皮/神秘主義/アイオーン/ウテナ/プロキシマ/キューブリック/外光/ノート/ノミ/小田原/透明体


第三章

波の音/感電/ザイール/鹿/ジミ・ヘンドリックス/スケートボード



松嶋圭
1974 長崎市生まれ。精神科医。 2016 Conversations with Shadows』にて、第3回プラダ・フェルトリネッリ賞(プラダ主催・国際文学賞)受賞。 2018 『陽光』(梓書院)。

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