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森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて

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森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて / 著者・星野道夫 / 文春文庫


写真家で探検家の星野道夫さんが、アラスカに伝わる〝ワタリガラスの神話〟に惹かれ南東アラスカを舞台に一人のクリンギット族のボブ・サムと共にした旅をまとめた紀行文です。

西洋文明が押し寄せ孤立してしまったボブは、その場所にいるのにあらゆる時空間を行き来しているようなスピリチュアルな雰囲気を漂わせています。

星野さんは、そんな彼とクイーンシャーロット島のトーテムポールを見に行こうと、ボブを誘い旅に出ます。この旅を通して謎に包まれた原住民の末裔でもあるボブのことが次第に分かり始め、残されたトーテムポールや大自然の息遣いから、目には見えないものに想いを馳せていく星野さんの心境がリアルに綴られています。

写真家でもあるので、本書の中には星野さんが撮影した大自然や太古の遺跡などが収録されており、その場所の空気感や時空を超えた足音が聞こえてきそうな、そんな気がしてきます。

目に見えるものに価値がある世の中ですが、この一冊を読んで、目には見えないものに想いや想像を膨らましてみるのはいかがでしょうか。


【目次】
ワタリガラスの家系の男
消えゆくトーテムポールの森で
ラスト・アイスエイジ・リバー
鯨の神話は宇宙を漂う
最初の人々
魂の帰還
森に降る枝
氷河期の忘れ物
リツヤ湾の悲劇
熊の道をたどって〔ほか〕


星野道夫
写真家。1952年、千葉県市川市生まれ。ナショナル・ジオグラフィック・ソサエティ刊『Alaska』のアラスカ・シシュマレフ村の写真に憧れ、’73年、アラスカに渡り、シシュマレフの家族と過ごす。’76年、慶応義塾大学経済学部卒業後、動物写真家・田中光常氏の助手を経て、アラスカ大学野生動物管理学部に留学。以後、動物写真の枠に収まらない広範な視点で一貫してアラスカの自然と人々を追い続け、多くの国内誌をはじめ『National Geographic』『Audubon』などに作品を発表。また、写真展も国内各所及びアメリカ・カーネギー自然歴史博物館などで開催。透明感あふれる文章と併せてその仕事は内外で高い評価を得てきたが、’9688日、取材先のカムチャツカ半島クリル湖畔でのヒグマによる事故で急逝。第3回アニマ賞(’86)、第15回木村伊兵衛写真賞(’90)受賞

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