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作り方を作る 佐藤雅彦展公式図録

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作り方を作る 佐藤雅彦展公式図録 / 著者・佐藤雅彦 / 左右社



作り方の枠



5歳くらいの時にハマっていたものがある。
それは『PEKOE』という紅茶だった。確かサントリーが紅茶の本場のイギリスの茶葉やその空気感を表現し、作っていたものだった。
小学校に入る前に当時吉祥寺の伊勢丹のおもちゃ売り場の奥にあった『めばえ教室』に通っていたのだが、そこからの帰り道、自宅の最寄駅からの帰り道でよく買ってもらっていた。といっても毎週土曜日がこの教室の日だったので毎週買ってもらった訳ではない。天気の良い日など互いの気持ちがいい時に、最寄駅の2つ先の駅まで自転車でサイクリングしてから教室に通っていたりしたのだが、その時だけという約束でよく飲んでいた。

『PEKOE』の味も好きだったのだが、もっと好きだったのがパッケージのデザインとCMなどで流れるヨーロッパの民謡のような曲調含めて、まさしくその全体の空気感が好きだったのだ。まさしく企業側が仕掛けたブランド戦略に5歳児ながらどハマりしていたのだ。


さて、そんな『PEKOE』のクリエイティブに関わっていたのが、佐藤雅彦さんだとしったのは、確か大学の時だったように思う。本書は、それだけにとどまらず『ピタゴラスイッチ』『だんご3兄弟』『0655/2355』などの教育番組、『バザールでござーる(NEC)』『モルツ(サントリー)』『ポリンキー(湖池屋)』をはじめとする一世を風靡したCMなどを手掛けた佐藤雅彦さんがどのようにクリエイティブな創作活動・表現活動をしてきたのかという変遷をたどりながら、自身でその考え方の枠組みを解説した内容としてとても貴重な一冊になっている。



 私は、長い間、表現者として研究や活動をしていますが、「表現」ということを意識しだしたのは、ずいぶん遅く、30代が近づいた頃です。実際に仕事として「表現」に取り組んだのは、なんと30代の中頃です。

 この本では、私がまだ大学生で進路を決めるあたりから現在に至るまでの、「教育」「表現」そして「方法」を巡る遍歴を実際の制作物とともに、物語っていきます。

 読み進めると、私の通ってきた道の端々に、領域の異なる表現が、折に触れ登場してきます。

 それは、その時々で、なぜか必然のように目の前に現れた課題に対して、辛うじて見つけた私の解答でもあります。

ーー本書まえがき「物語りの形をした図録」より



この一冊を読めば、あなたも何かを生み出したくなる、そんな一冊。





佐藤雅彦
1954年静岡県生まれ。東京大学教育学部卒業後、株式会社電通に入社。グラフィックデザインから表現を始め、CMプランナーとして「ポリンキー」や「バザールでござーる」など数多くのCMを手掛ける。電通退社後はTVゲーム「I.Q」や楽曲「だんご3兄弟」などを発表し大きな反響を呼ぶ。

1999年より慶應義塾大学環境情報学部教授。2006年より東京藝術大学大学院映像研究科教授。2021年より東京藝術大学名誉教授。

『ベンチの足 考えの整頓』(暮しの手帖社)、『解きたくなる数学』(岩波書店)など著書多数。NHK教育テレビ『ピタゴラスイッチ』、『考えるカラス』、『0655/2355』などの番組制作にも携わり、表現についての研究を続けながら多彩な活動を行っている。2013年紫綬褒章受章。

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