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雲と鉛筆

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著者:吉田篤弘 / 出版社:ちくまプリマー新書

− 答えは見つけない方が良い。
 人生には「見つける」ではなく、もっといい言葉がある。「気づく」という言葉だ。
 読むことは書くことだと思う。読まなければ書くことは生まれてこない。
 子供のために書かれた本には、ときどき「本当のこと」が書いてある。

これらの言葉が「雲と鉛筆」の物語の中に散りばめられています。
物語は、水道も通っていない元新聞工場の屋根裏部屋に住む主人公の「僕」とその周辺で巻き起こる日常が描かれています。

読み進めていくと先にあげた世の中の本質を捉えたような言葉が、物語の「僕」をはじめとする登場人物のものなのか、著者の吉田さんが伝えたいことなのかという境がとても曖昧になっていく感覚を覚えることでしょう。

タイトルにもなっている「雲」は実態の曖昧なモノの象徴で、対する「鉛筆」は手触り感の象徴のようなモノが対比されているように思います。そして物語の情景描写としては、「鉛筆」「小包」「菓子」「薬缶」などといった言葉で表現されているのに対し、全体のメッセージとしては「記憶」「循環」「継承」「空想」「言葉」といった人々の心の中に内在しているような、いわゆる“雲”的な事柄について登場人物同士のやりとりから溢れ出てきます。

そして、物語の後に書かれているあとがきにも注目です。
というのもちくまプリマー新書の装丁のイラストは全て吉田篤弘さんと吉田浩美さんご夫妻が手がけられていて、ちくまプリマー新書の創刊当時に松田編集長がお二人にかけた言葉にも少しグッときます。それがこちらです。

「子供たちに、ひとつだけ伝えるとしたら、あなたは何を伝えますか」
「それを、原稿用紙百枚で書いてください」

ちくまプリマー新書記念すべき300タイトル目の「雲と鉛筆」
きっと吉田篤弘さんが子供に伝えたいことがぎゅっと詰まった一冊なのでしょう。