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丁先生、漢方って、おもしろいです。

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丁先生、漢方って、おもしろいです。 / 著者・丁宗鐵、南伸坊 / 朝日文庫



自然体の漢方の世界



漢方という世界は馴染みのある方はあると思いますし、ない方は全くよくわからない不思議な世界、というよりも少し怪しさを感じる世界なのだと思います。かくいう私もひょんな出来事から漢方を処方されたのがきっかけで、体調などが思わしくない時にそっと寄り添ってくれるお守りのような存在として私の世界と繋がっています。

会社員とキャリアをスタートし無我夢中で仕事に勤しんでいたところ、ある時、妙な頭痛が長引き気力だけで過ごす日々が続いていました。騙し騙しそんな状態で過ごしていると、突然、熱や吐き気がないのにカラダが全く動かない状態にまでなってしまい急いで近所のクリニックに父と一緒に行ったのでした。そのクリニックの先生が地元で割と有名な漢方医の先生で、その先生曰く、私の病状?の診断は気が少なくなり、不足している状態である『気虚』という症状だったようで適切な漢方を処方していただくと、あら不思議、チカラがどんどんとみなぎってくるのです。以来何かと自分のカラダの不調や慢性的な症状の改善(特にアレルギー性鼻炎など)に漢方を活用するような生活スタイルへと変化していったのでした。


さて、このような実体験がないとなかなか理解されにく世界でもある漢方ですが、本書『丁先生、漢方って、おもしろいです。』は、著者であり漢方医の丁宗鐵さんと「肺がんの疑いあり」がきっかけで丁先生の元へと駆け込んだ南伸坊さんが会話のような掛け合いから、その世界を紐解いていく内容となっています。

一冊を通して感じることが、一時的な症状を緩和するような対処療法的な医療ではなく、人それぞれ異なる病状の根本の原因を突き止め、それを薬で改善するのではなく、治癒していくのはあくまで自身のカラダであり、その手助けや伴走役としての漢方という薬があるという考え方なのだということが理解できることでしょう。本書のあとがきで丁先生が触れている『人間と人間とのふれあいを尊ぶ』という姿勢のもと、自然体の営みの中で健康が維持できる状態が理想の世界なのだということが腑に落ちました。


あの人に効く漢方もあなたには効かない、そんな一人ひとりを見つめる漢方薬の世界への入門書としてオススメです。




<目次>
漢方が西洋医学に敗けたワケ
漢方で治す風邪
東と西の薬談義
がんが治ると日本が破産!?
丁先生の雑談力
自律神経失調症って何ですか?
糖尿病は勝ち組がなる
横道にそれますよ
聖武天皇の漢方薬
ヘンな咳が出る人〔ほか〕



丁宗鐵
1947年東京生まれ。横浜市立大学医学部卒業。医学博士。同大学大学院医学研究科修了。1979年から1981年まで米国スローン・ケタリングがん研究所に客員研究員として留学。日本東洋医学会漢方専門医・指導医。現在、日本薬科大学学長。漢方医療の専門医として、テレビ・ラジオでも活躍


南伸坊
1947年東京生まれ。イラストレーター、エッセイスト、漫画家。漫画雑誌「ガロ」の編集長を7年間務めた後、80年からフリーのイラストレーター

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