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洞窟壁画を旅して ヒトの絵画の四万年

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洞窟壁画を旅して ヒトの絵画の四万年 / 著者・布施英利 / 論創社




古への旅




過去の人々の生きた証というものは、それが有名無名であろうと言葉で記されているものが多いと思う。労を惜しまずに地域で大きな図書館に出向けば、過去のアーカイブなどから言葉の断片を拾い上げ、それらを紡ぐことで過去の意思などを垣間見ることができるだろう。

自分の古への旅といえば、近くの用水路を父と一緒にひたすらに上流へと辿り登って行ったことだろう。江戸時代の灌漑工事として作られたその用水はその後近代現代と時代を歩むことで、補完工事などがたびたび繰り返されて現在のカタチになっているものの、その背後にそれこそ川の流れの如く、脈々とそこに流れている人々の意思やどうしてこの用水路が必要だったのかということを周辺の歴史から思いを馳せることは容易にできた。そうして知り得た身体性を伴った知というものは、少なからず今の自分にとって先人たちへの敬意の念にも通じているし、そうした古の労働によって自分たちは生かされていることに目が向くように思う。そんな出来事を行った20年以上経った今でも、父とあーでもない、こーでもないと言いながら自転車で用水路を辿ったことは僕の宝物の時間となっている。


さて、古への旅ということで紹介したいのが本書『洞窟壁画を旅して ヒトの絵画の四万年』だ。僕のエピソードとスケール感の異なる洞窟壁画という途方もない時代を遡った遺産を目的にした親子の旅をまとめた一冊になっている。

東京芸大で美術を専攻し、さらに養老孟司の元で解剖学を学んだ美術解剖学のスペシャリスト、数多くの著作もある布施英利は、以前からラスコーなどの壁画群を見て、絵画の根源を探ろうと考えていた。そして2017年夏、美術を専攻する息子を伴い、洞窟絵画を探る旅に出た。日本の古墳壁画や星野道夫のアラスカの写真などと比較しながら、絵画の本質は何かを考察する。旅の記録とその考察が文体を変えて交互に現れ、人はなぜ絵を描くのか?という問題に迫ろうとする。


この一冊が古への旅の玄関口となっているのは間違いないだろう。




<目次>

第一日 最も古い絵画 ……明日香村・キトラ古墳壁画へ    
第1章 夜の語り……旅の準備として「先史時代の洞窟壁画」についての、 
第二日 ショーヴェ洞窟壁画への旅 ……人類最古の絵画    
第2章 夜の語り……ネアンデルタール人と絵画の起源をめぐる、 
第三日 旅の途中 ……中世ロマネスクの村へ    
第3章 夜の語り……西洋美術の歴史をめぐる、
第四日 レゼジー村の洞窟壁画への旅 ……本物の洞窟壁画を見る    
第4章 夜の語り……写真家・星野道夫のアラスカをめぐる、 
第五日 ラスコー洞窟壁画への旅 ……ラスコー二とラスコー四    
第5章 夜の語り……狩猟と解体の世界をめぐる、 
第六日 パリへ……そして旅の回想    
最終章 ヒトの絵画の四万年



布施英利
美術批評家・解剖学者。1960年生まれ。東京藝術大学・美術学部卒業。同大学院博士課程修了(美術解剖学専攻)。学術博士。その後、養老孟司教授の下での東京大学医学部助手(解剖学)などを経て、現在に至る。解剖学と美術が交差する美の理論を探究している。これまでの著書には、28歳の大学院生のときに出した『脳の中の美術館』を皮切りに、『構図がわかれば絵画がわかる』『遠近法がわかれば絵画がわかる』『色彩がわかれば絵画がわかる』の三部作、『人体 五億年の記憶』『子どもに伝える美術解剖学』など約50冊がある。また養老孟司との共著『解剖の時間』、TYM344とのコラボ『わかりたい! 現代アート』などがある。

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