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口の立つやつが勝つってことでいいのか

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口の立つやつが勝つってことでいいのか / 著者・頭木弘樹 / 青土社



言語化できないことの真実



小さい頃に親からよく何を言いたいのかよくわからないと自分が説明することや話していることに対して言われていました。今振り返ってみると前後関係が支離滅裂だったのだろうと思い返すことができます。
今でもそれを言葉にしないものの現在の状況と全く関係のない言葉が頭の中に浮かぶことが多々あります。それをよく観察してみると自分の感じ取っている感情の部分が言葉に変換されて頭の中に浮かび上がってきたものなのだろうと思います。きっと幼かった頃は自分の説明したい本論の中に、その本論の部分と関係する感情の言葉も声に発して文章にしてしまっていたので、前後関係支離滅裂な状況に陥っていたのだろうと考えられます。そんなことを今になって振り返っても、大したことは起こらないのですが、唯一幼い頃の自分を褒めてあげたいことは、親からそうしたネガティブな反応があったにもかかわらず、その支離滅裂さを押し通して、自分のこころや頭の中に浮かんだ感情の言葉を押し殺さなかったことなのです。

世の中、全てが言語化されていると思ったら大間違い。その大半は言語化できないことによって世界が成り立っているといっても過言ではないのです。そう感じさせてくれたのは、本書『口が立つやつが勝つってことでいいのか』のページを開いたことがきっかけでした。


どうしても理路整然とは話せない知人、酔うと後悔ばかり話し出す友人、洗面台で流されかけている小虫、授業中に夫の死を語りつづける先生……。弱いものたちのなかにこそ、陰影のある物語は生まれてくる。

思いをうまく言葉にできないほうが、当然なのだ。本当なのだ。


帯にはそう書かれているので、何だか少し救われたような気になってきます。



言葉にするとはどういうことなのかを身近なエピソードを交えてまとめられたエッセイ集です。


言語化できないことの方が、個人的には真実なんじゃないかなと思うのです。




<目次>

はじめに 「言葉にしないとわからない」×「うまく言葉にできない」

 

言葉にできない思いがありますか?
口の立つやつが勝つってことでいいのか!
思わず口走った言葉は、本心なのか?
理路整然と話せるほうがいいのか?
好きすぎると、好きな理由は説明できない
「無敵の心理学」がこわい......
自伝がいちばん難しい
短いこと、未完であること、断片であること

世の中こんなものとあきらめられますか?
能力のある人がちゃんと評価されれば、それでいいのか?
金、銀、銅、釘のお尻
「感謝がたりない」は、なぜこわいのか?
「かわいそう」は貴い
どんな事情があるかわからない
愛をちょっぴり少なめに、ありふれた親切をちょっぴり多めに

思いがけないことは好きですか?
牛乳瓶でキスの練習
行き止まりツアー
思い出すだけで勇気の出る人
「カラスが来るよ!」と誰かが叫んだ
違和感を抱いている人に聞け!

別の道を選んだことがありますか?
後悔はしないほうがいいのか
8回、性格が変わった
人の話を本気で聞いたことがありますか?
意表をつく女性たち
もう嫌だと投げ出す爽快
迷惑をかける勇気

あなただけの生きにくさがありますか?
つらいときに思い出せるシーンがありますか?
倒れたままでいること
暗い道は暗いまま歩くほうがいい
失うことができないものを失ってしまったとき、どうしたらいいのか?
大好きな先生はいましたか?
とろ火の不幸
「死んだほうがまし」な人生を、どう生きていくか?
目を病んだときの父のにおい

現実がすべてですか?
永遠に生きられるつもりで生きる
神の矛盾
幻影三題
土葬か火葬か星か
人の青春、虫の青春
死んだ人からの意見
電話ボックスとともに消えた人間の身体
もうひとりの自分
誰かの恩人ではないか

おわりに エッセイという対話



頭木弘樹

文学紹介者。筑波大学卒。

大学3年の20歳のときに難病になり、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、2011年『絶望名人カフカの人生論』(飛鳥新社/新潮文庫)を編訳、10万部以上のヒットとなる。以後、さまざまなジャンルの本を執筆している。

編訳書に『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ 文豪の名言対決』(草思社文庫)、『ミステリー・カット版 カラマーゾフの兄弟』(春秋社)。

監修書に『マンガで読む絶望名人カフカの人生論』(平松昭子、飛鳥新社)。

著書に『絶望読書』(河出文庫)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)、『食べることと出すこと』(医学書院)、『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)、『自分疲れ』(創元社)。

編者を務めたアンソロジーに『絶望図書館』『トラウマ文学館』『うんこ文学』(いずれもちくま文庫)、『絶望書店 夢をあきらめた9人が出会った物語』(河出書房新社)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)がある。

共著に『病と障害と、傍らにあった本。』(里山社)、『366日 文学の名言』(三才ブックス)、『こどもに聞かせる一日一話 「母の友」特選童話集』(福音館書店)。

ラジオ番組の書籍化に『NHKラジオ深夜便 絶望名言』『NHKラジオ深夜便 絶望名言2』(共に飛鳥新社)。

NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。

日本文藝家協会、日本うんこ文化学会会員。

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