著者:宮沢賢治 / 出版社:八燿堂
『mahora』を発行する八燿堂による新しい書籍のライン。
第一弾として、『mahora』に採録されていた「農民芸術概論綱要」を軸に、賢治のさまざまな詩編を60以上採録した『農民芸術概論』が刊行されました。
「われらに要るものは銀河を包む透明な意志 巨きな力と熱である」 (―44pより引用)
「新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある 正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである」 (―45pより引用)
「誰人もみな芸術家たる感受をなせ 個性の優れる方面に於いて各々止むなき表現をなせ」 (―50pより引用)
仏教信仰と農民生活に根ざし、自然や宇宙のスケールで感受し、創作をした宮沢賢治の作品。
「農民芸術概論綱要」は、今の時代に必要なメッセージとも読み取れる本質的な言葉の羅列にハッとさせられるような作品です。
自然や宇宙との調和、在り方や表現…。 この作品が1920年代に作られたと思うと、宮沢賢治とは一体どんな人物だったのだろう、と思わざるを得ません。
『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』など有名な作品を読んだことがある方は多いかもしれませんが、童話作家としてではない、宮沢賢治の思考や思想、人生を改めて知りたいと思わされる一冊です。
自分の内側の感性を響かせながら、じっくり読み解いていきたい。
そしてミロコマチコさんの装画と大地を思わせるような落ち着いた装丁。
新しい時代のはじまりに、先人の叡智が詰まった美しい本をぜひ手元に。