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いまここ

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いまここ / 著者・谷川俊太郎、写真・川内倫子 / torch press



日常が桃源郷



忙しさの中に溺れてしまうと、どうしてもそこから抜け出したくなり、先々のことを予測し、何十手先のことを延々に考えてしまう癖があります。結局、未来に起こることといえば、その何十手の中の一つでしかないのに、そうした頭の中のグルグルが自分自身をいつのまにか無意識的に追い込んでしまっていたりするから少し怖いモノです。

けれど視点を変えてみると、そんな忙しい中でも、家族全員で毎食といって良いくらい顔を合わせてご飯が食べられるということや畑の野菜たちが芽吹くこと、そして季節の変化を感じられることが、まさにそこに有ることが得難い、有り難いことなのだなと歳を重ねていく毎に感じられるのです。

最近もとあるカフェでコーヒーを飲みながら原稿のチェックをしていたところ、窓の外らからコーヒーカップに差し込む光がとても美しく、そのコーヒーカップをそこに置かなかったら見えない景色が確かにあるわけで、これってものすごい確率の中で生まれていることなのだなと思い、思わず持っていたカメラでシャッターを切ったのでした。考えてみれば全ての出来事、目の前に現れていることは、数多くの選択肢の中から今この瞬間に選択されたものだと捉えてもおかしくありません。どこかの理想の世界は遠くの場所にあるのではなく、近くの日常の一つ一つなのだということを感じさせてくれるのでした。


さて、そんなことを本書『いまここ』のページをめくっていると思い起こされてきます。


『いまここ』は谷川俊太郎の詩に、川内倫子が写真を合わせた写真絵本。日本科学未来館で上映されたプラネタリウム「暗やみの色」から生まれた、原田郁子の楽曲「いまここ」の谷川の詩から生まれた一冊です。原田の楽曲「いまここ」は、今年発売された15年ぶりのソロアルバム「いま」に収録されている、0歳から91歳までの声、谷川自身の朗読、呼吸音、心音、rei harakamiのサウンドをフューチャーした11分半におよぶ大作となります。楽曲制作時に原田が川内の写真展「M/E 球体の上 無限の連なり」を訪れたことから、「本」としてのプロジェクトが動き出しました。


言葉と写真が呼応するように川内自身が構成した写真絵本『いまここ』では、アートディレクター・サイトヲヒデユキのデザインによって、言葉自体もリズムを持ちながらページが流れていきます。自分の存在について問いながらも、さまざまな受け取り方ができる「いまここ」という根源的な詩。それが静けさの中に自然の息づかいを感じる瑞々しい写真と重なり合うことで、寄り添いながらも、時空を超えた旅へと連れて行ってくれるでしょう。包まれるような囁きを聞きながら、深く遠くまで浸ることができる楽曲「いまここ」と連なり合う、言葉と写真で紡がれる『いまここ』の扉を、ページをめくりながら開いてみてください。

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