Her∂ubrei∂ at Home / Roni Horn / STEIDL
暮らしの年輪の片鱗
ニューヨークに生まれ、同地とアイスランドを拠点に活動するロニ・ホーン。
写真や厭刻、ドローイングといった多岐にわたる表現を通してコンセプチュアルな作品を制作し、世界の主要な美術館での展示を重ねています。日本では、ポーラ美術館(箱根)で開催された国内美術館における初個展が記憶に残る方もいるでしょう。
画家のステファン・v・ヨンソンは、アイスランドで愛される山『Herdubreid』を生涯にわたって描き続けてきました。それはアイスランド全域の多くの家庭に飾られ、文化的かつ地質学的な主題、そしてこの国のマスコットとなっています。
このことに着目したホーンは、絵画の所有者が作品を設置する生活空間を捉えた写真を集めました。色とりどりに描かれた作品ひとつひとつにも個性があるのはもちろんのことですが、つい飾られた場所のしつらえにも目がいきます。
こうした景色から、アイスランドに住まうひとたちの暮らしぶりや息遣いをも感じられるとは...なんだか沁み入るものがあります。
肩肘張らずに過ごせる場というのはきっと、これら作品たちにとっても居心地がいいのでしょう。 本来の伸びやかさを放っているように映ります。
text by Takiko Nishiki