面影 book&craft

FELIX GONZALEZ-TORRES RONI HORN by Felix Gonzalez-Torres, Roni Horn

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FELIX GONZALEZ-TORRES RONI HORN by Felix Gonzalez-Torres, Roni Horn / 作者・フェリックス・ゴンザレス=トレス(Felix Gonzalez-Torres)、ロニ・ホーン(Roni Horn) / STEIDL

 

 

 

友情の宝箱

 

 

 

北欧を旅していた時にヴィンテージや陶器をはじめとしたクラフトを買い付けしていた。色々なお店を回ったり、蚤の市に出向いたりしながら自分の眼や感覚にピンとくるものを手に取り、後からそのものが纏うストーリーを紐解いていくことにとてもハマっていたのだ。

そしてある程度買い付けた中から厳選してこれはというものは、コペンハーゲンでヴィンテージ・クラフトショップを営む同世代の友人のもとに持っていき、それについてひとしきり語り合いながら、さらにものが映えるようにと、友人の店の中のものと買い付けたものを二人で移動させ組み合わせながら、どうしたら全体の空間が良くなるのかというアレンジの遊びをしていく。操る言語は異なれど、そこに共通する眼というか感覚というものを通しての呼応はそこに確かにあり、どんな友達よりも深い友情の関係がそこに築かれていたのだった。

 

さて、こうした友情の感覚というものは誰しも経験があるはずだ。

そしてその友情の間には言語や国境といった人間が勝手に線引きしたものをヒョいと乗り越えてしまう軽やかさがあるのではないだろうか。

 

本書『FELIX GONZALEZ-TORRES RONI HORN by Felix Gonzalez-Torres, Roni Horn』は二人のアーティストによって、そんな友情のプロジェクトを展覧会として形にした証がまとめられている。
そのアーティストは、キューバ人アーティスト、フェリックス・ゴンザレス=トレス(Felix Gonzalez-Torres)とアメリカ人アーティスト、ロニ・ホーン(Roni Horn)だ。

キューバとアメリカと聞けば、誰しもが分かるように国としては国際的な対立構造がそこにはあるはず。けれどこのアーティストたちにとってはそんなことはお構いなし。

 

出会いは1990年。ゴンサレス=トレスは、「ロサンゼルス現代美術館(Los Angeles Museum of Contemporary Art / MOCA)」 でホーンの作品「Gold Field」という床に置かれたシンプルな薄い金箔の作品に出会ったことから始まる。そこから二人の交流はゴンサレス=トレスが亡くなる1996年まで続き、本書は、 この二人の作品がもたらす体験的な特性と、その根底にある深遠な関係性を鑑賞者に共有することを意図したフォト・エッセイとして制作されている。

ゴンサレス=トレスの「UntitledFor Stockholm」(1992年)、「Untitled(Blood) 」(1992年)、ホーンの「Well and Truly」(2009-10)、「a.k.a」(2008-09)という代表作4点を中心にフォーカスを当て、二者による折り重なることによる増幅、二元性、反復、アイデンティティという観念を強調している。

 

事前情報を入れずに本書を手にすると、どちらがどちらの作品なのかということが全くわからないくらい二人の作品たちは空間の中に溶け込み合っていることが理解できるはずだ。

きっとそれは視覚表現の詩人としての二人が織りなす理解と敬意、そして友情の表れなのだろう。

 

空間の余韻、体感のある視覚表現を感じ取れる一冊。

まるで二人の友情の宝箱を覗かせてもらっているかのようだ。

※ポッドキャスト『面影飛行』では、さらに詳しくこちらのアートブックについて語っています。あわせてお楽しみください!

 

hardcover
80 pages
178 x 235 mm
color
2022

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